ハラスメントがまん延=預保公社、トップにも問題―米 2024年05月16日 15時29分

米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ総裁=15日、ワシントン(EPA時事)
米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ総裁=15日、ワシントン(EPA時事)

 【ワシントン時事】米国の金融安定を担う連邦預金保険公社(FDIC)が、セクハラやいじめのまん延に揺れている。4月に公表された第三者調査では、500人以上が被害を報告。グルーエンバーグ総裁も職員へのパワハラ体質が指摘され、議会から辞任を求める声が高まっている。
 FDICは銀行が破綻した場合に、一定額の預金を保護する機関で、破綻行の管財人も務める。通常は金融機関の規制・監督業務を行い、連邦準備制度理事会(FRB)や通貨監督庁(OCC)と並び、米金融当局の一角を占める。
 根深いハラスメント問題が明るみに出たのは、昨年の米紙報道がきっかけだ。これを受けて設置された第三者のホットラインに、ストーカー行為や、身体に関するひわいな発言、同性愛嫌悪の言動といった被害の報告が相次いだ。被害者は「女性と少数者に偏っている」という。
 トップのグルーエンバーグ氏についても、特に良くない知らせを伝えた時、極度に「辛辣(しんらつ)」で「攻撃的」となり、一部の職員らは不快なやりとりに耐えなければならなかったとされる。
 グルーエンバーグ氏は15日、下院金融サービス委員会で「第三者報告書の指摘を受け入れる。総裁としての失敗も認め、自分の問題にも対処する」と証言。一方で「信頼回復のため、組織の根本的な変化を示さなければならない」と述べ、職務を続ける意向を示した。
 だが、マクヘンリー委員長(共和党)に「あなたの言動の問題を指摘した職員に、そんな扱いをもうしないと納得させられるのか」と迫られ、グルーエンバーグ氏が答えに窮する場面もあった。「辞任ではなく、解任されるべきだ」(別の議員)との声も上がっており、同氏を取り巻く状況は厳しさを増している。 

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