TikTok禁止に司法の壁=表現の自由、争点に―米 2024年04月25日 00時16分

中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のロゴマーク(EPA時事)
中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のロゴマーク(EPA時事)

 【ワシントン時事】中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を禁止する法案が成立した。これまでも禁止の動きがあったものの、司法の高い壁に阻まれ、実現には至っていない。親会社の字節跳動(バイトダンス)は提訴も辞さない構え。法廷闘争に発展すれば、憲法上の表現の自由を侵害するかどうかが争点になりそうだ。
 法案は、米国や米国人の情報が中国政府に流れ、安全保障上の脅威になるとして、バイトダンスがティックトックの米事業を売却しなければ、国内でのアプリ配信を禁じる内容。
 米国では昨年5月、西部モンタナ州で、同様の理由からティックトックを禁止する州法が成立した。ただ、同州の連邦地裁は禁止が「憲法上の言論の自由を制限する」と判断、これを差し止めた。
 2020年には当時のトランプ大統領が、ティックトックを含む中国系アプリとの取引を禁じる大統領令に署名したが、別の連邦地裁が差し止めたため、実現していない。
 今回の法案では、ティックトックの米事業が中国系資本から切り離されれば、アプリ配信を続けられる。法案を支持するバイデン政権も「禁止を求めてはいない」(大統領報道官)と繰り返しており、あくまでも中国との関係を問題視していると強調する。
 米議会は、禁止までの猶予期間を原案の6カ月から最長1年に修正。米事業の売却交渉にかける時間を確保し、アプリを継続しやすくすることで、法廷闘争に備えた。
 一方、ティックトックの米運営会社は「表現の自由を侵害するものだ」と批判。アプリを利用する中小企業や投稿者らの生活に悪影響を与えると主張し、徹底抗戦の姿勢を崩していない。 

海外経済ニュース