活力誇示、本選へ好発進=バイデン氏、政敵との対比前面―米一般教書 2024年03月08日 16時46分

7日、ワシントンの米連邦議会で一般教書演説を終え、記念撮影に応じるバイデン大統領(AFP時事)
7日、ワシントンの米連邦議会で一般教書演説を終え、記念撮影に応じるバイデン大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】バイデン米大統領(81)の任期最後の一般教書演説は、大統領選で再戦が事実上確定したトランプ前大統領(77)との対比に重点を置いた。11月の本選まで戦い抜く気力・体力が懸念される中、声を張り上げて活力を誇示。目立った失言もなく、好スタートを切った。
 違いが最も鮮明になったのが、移民に対する意識だ。バイデン氏は、「米国の血を汚す」と移民をさげすんだトランプ氏を非難。「私は移民を悪者扱いしない。米国は地球上のあらゆる人々の家だ」。不法移民の急増が最大の争点に浮上する中で、安易な排他主義を否定した。
 主要テレビ局が中継する一般教書演説は、大統領選前に全米の有権者に政策や信条を伝える重要な機会だ。年齢不安に向き合いつつ、「若かろうが老いていようが、何が永続するかを知っている。(それは)米国の理念だ」と強調し、「報復」を誓うトランプ氏とは対照的に希望のメッセージで演説を締めくくった。
 CNNテレビが演説後に行った世論調査によると、「バイデン氏の政策は米国を正しい方向に導く」とした回答は62%。演説前の45%から跳ね上がった。
 支持が陰る若年層への伝え方も意識した。米メディアによると、ホワイトハウスは演説に先立ちインフルエンサーら約70人から意見を聴取。安全面で物議を醸した中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」も活用し、浸透に手を尽くした。
 周到な準備で臨んだ演説の背景には、トランプ氏の復活に対する強い危機感がある。2021年1月の政権発足時に55.5%だったバイデン氏の平均支持率は、39.2%まで下落。今年2~3月の主要メディア・機関の調査では、トランプ氏に数ポイント差で競り負ける結果が大半だった。
 「歴史が見ている」。鬼気迫る表情で訴えたバイデン氏は、8日の東部ペンシルベニア州訪問を皮切りに激戦州行脚に乗り出す。8カ月後の「決戦」に向けた長いレースが始まった。 

海外経済ニュース