プーチン氏、課題は「正統性」=国内引き締め、国外から厳しい目―ロシア大統領選まで1週間 2024年03月07日 14時58分

ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島で、プーチン大統領のポスター前を歩く人々=2月29日、シンフェロポリ(AFP時事)
ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島で、プーチン大統領のポスター前を歩く人々=2月29日、シンフェロポリ(AFP時事)

 ロシア大統領選は、15日の投票開始まで1週間に迫った。プーチン大統領の通算5選が確実な中、政権の課題は内外での「正統性」確保。国内では高い投票率と得票率を狙い、引き締めを強化している。一方、ウクライナ侵攻に絡み国際刑事裁判所(ICC)に逮捕状を出されたほか、反体制派指導者ナワリヌイ氏の獄死で国際社会から厳しい目が向けられており、選挙結果を承認すべきでないという声もある。
 ◇目標は投票率80%
 戦時のロシアは昨年秋、大統領選に関する法律を改正。占領して戒厳令を敷くウクライナ東・南部4州での選挙実施を可能にするとともに、全土で主要メディアにしか投票所の撮影を許可しないことを盛り込んだ。
 不正疑惑が持ち上がり、ナワリヌイ氏らの呼び掛けで大規模デモにつながった2011~12年の一連の国政選挙では、独立系メディアや民間選挙監視団体「ゴロス」が厳しい目を光らせた。政権は法改正でメディアによる監視を制限。昨年夏にはゴロスの共同代表を拘束し、プーチン氏の圧勝に疑問を挟ませない構えだ。
 「投票率の目標は70~80%」。独立系メディア「メドゥーザ」によると、政権は無風選挙で関心が低い中でも高い投票率を達成するため、公務員や国営企業従業員らを動員する方針。近年は電子投票が普及し、選挙に参加したかどうかを確認しやすくなったことが、心理的圧力になっているという。
 ◇「政敵殺した」
 「ソ連時代と同じだ。西側の人々は(まやかしに気付かないという)過ちを犯す」。ナワリヌイ氏の側近は2月14日、欧州連合(EU)欧州議会で「茶番」の選挙を認めないよう訴えた。同氏獄死後の19日には、妻ユリアさんがEU各国外相を前に「政敵を殺した(プーチン)大統領に正統性はない」と断じた。
 20年のベラルーシ大統領選を巡る不正疑惑では、反政権派による大規模デモが起き、EUはルカシェンコ大統領の6選を承認しなかった。ロシアに関しては今回、東欧の議員らが問題提起。ただ、ウクライナ停戦交渉や戦後の関係再構築を見据えると、強硬対応で足並みをそろえることは容易でない。
 日本を含む先進7カ国(G7)は、14年にロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島での選挙を認めなかったのと同様、東・南部4州でも承認しない立場だ。しかし、ロシア全土での投票によって選ばれるプーチン氏の正統性については、問題視しないとみられる。 

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