投票率引き上げへ時間延長=強硬派優勢か―イラン国会選 2024年03月02日 17時32分

 【イスタンブール時事】イランで1日に投票が行われた国会(定数290、任期4年)と最高指導者の任免権を持つ「専門家会議」(定数88、任期8年)の選挙は2日、開票作業に入った。反米の最高指導者ハメネイ師を頂点とする保守強硬派が圧倒的に優勢とされ、選挙への関心が低い中、当局は投票締め切り時間を延長。「信任投票」となった革命指導部は統治の正統性に傷が付く事態を懸念し、投票率の引き上げを図った形だ。
 ハメネイ師は1日、「イランの不幸を願う敵を失望させよう」と積極的な投票を呼び掛けた。ただ、保守強硬派が主導する事前審査で、国際協調を志向する穏健派や改革派の多数が出馬を認められず、選挙の公正さを疑う市民の不満も強い。投票率が1979年のイスラム革命以降の国会選で最低となる可能性もある。
 今回は2022年に女性の頭部を覆うスカーフの着用強制を巡って広がった大規模デモ後で、初めての国政選挙。イランは欧米の制裁下で経済不振にあえぎ、通貨安や物価高騰も市民生活を圧迫している。それでも、有権者には選挙を通じた状況好転への期待感は薄い。
 イランは来年、大統領選挙を実施する。欧米との対決姿勢を貫くライシ大統領が再選を目指して出馬するのは確実とみられる。高齢のハメネイ師の後継有力候補の一人に挙がるライシ師にとっては、求心力や権威の強化が不可欠。保守強硬派が国会で確固とした勢力を維持すれば、ライシ師の政権運営や再選にも追い風となりそうだ。 

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