新興極右、政治不信で議席増か=総選挙まで1週間―ポルトガル 2024年03月02日 16時49分

 【パリ時事】ポルトガル議会(一院制、定数230)選挙は10日の投票まで1週間に迫った。世論調査では第1党の中道左派・社会党と第2党の中道右派・社会民主党が共に支持率30%前後でトップ争いを演じるが、いずれも過半数に届かない見通し。一方、新興極右政党シェーガは有権者の間で高まる政治不信の受け皿となり、議席を大きく増やす勢いだ。
 ポルトガルは独裁体制が打倒された1974年のカーネーション革命から4月で半世紀。イタリアやフランスなど極右の台頭が目覚ましい欧州の中では、伝統政党に対する信頼が比較的厚い。
 しかし昨年11月、政府主導の脱炭素化事業に絡む不正疑惑を受け、コスタ首相は「職務を全うできない」と辞表を提出。国民が政治に対する不信感を募らせる中、今度は大西洋に浮かぶポルトガル領のマデイラ諸島で別の汚職事件が発覚した。社民党所属の自治州知事らは今年1月に辞意を表明。選挙戦では「政治とカネ」を巡る問題が主要な争点となっている。
 「腐敗政治の打破」を訴えてきたシェーガにとって、危機的状況はチャンス。2022年の前回選挙で得票率は7%台にとどまっていたが、今年2月下旬に実施された世論調査の支持率は17〜20%に上昇した。躍進を遂げれば選挙後に社民党と協力し、右派政権を樹立する可能性も出てくる。社民党は約8年ぶりの政権復帰が悲願だ。
 ただ、シェーガのベントゥーラ党首(41)は少数民族のロマ系住民に対する差別的発言で知られ、社民党のモンテネグロ党首(51)に距離を置かれている。社会党はコスタ氏からバトンを渡されたヌーノサントス新書記長(46)の下、左派勢力の結集による政権維持に望みを託す。選挙戦が終盤に差し掛かる中、各党の攻防はさらに激しさを増しそうだ。 

海外経済ニュース