大手行トップ「経済に打撃」=資本規制強化に反発 2024年03月02日 14時49分

 【ニューヨーク時事】米地銀シリコンバレー銀行(SVB)などの経営破綻を踏まえ、金融当局が提示した大手・中堅行への資本規制強化案を巡り、金融界首脳らが反発を強めている。大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は「経済や家計に有害な結果をもたらす」と当局を批判。連邦準備制度理事会(FRB)の一部にも異論がある中、予定通りに実施できるかどうかは不透明だ。
 規制案はSVBなどが破綻した反省から、総資産1000億ドル(約15兆円)以上の大手・中堅行を対象に、自己資本の上積みを求める内容だ。破綻で揺らいだ金融システムの安定性を高め、リスクの芽を摘む。当局は2025年7月から段階的に導入し、28年7月の完全適用を目指す。
 「リスクを軽減するための政策がリスクを増大させる」。米金融界のご意見番として知られるダイモン氏は23年12月に開かれた米上院公聴会で資本規制に強い懸念を表明した。規制に伴い住宅ローンコストなどが上昇し、融資が鈍り実体経済に悪影響が生じるとの危機感が背景にある。
 金融界の反発を受け、FRB内部からも「大幅な見直し」(ボウマン理事)が必要との意見が聞かれる。大和総研の鈴木利光主任研究員は「大幅な修正がかかる可能性があり、25年7月の実施は難しい」と指摘する。 

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