軍人、警察官に選挙権なし=59年前のクーデター未遂受け―インドネシア大統領選 2024年02月08日 14時23分

警備に当たるインドネシアの警察官ら=2023年11月、ジャカルタ(AFP時事)
警備に当たるインドネシアの警察官ら=2023年11月、ジャカルタ(AFP時事)

 【ジャカルタ時事】14日に大統領選と総選挙が行われるインドネシアは、世界第4位の約2億7000万人の人口を抱える。有権者数も約2億500万人に上るが、現役の軍人と警察官には選挙権が認められていない。その契機は59年前のクーデター未遂事件にあるという。
 インドネシアでは、17歳以上の国民に選挙権が与えられている。2019年の法改正まで女性が結婚できる年齢は16歳(現在は男女共に19歳)で、既婚女性は17歳になっていなくても投票できた。一方、条件をクリアしながら投票できない状態が続いているのが、計90万人近くに上る国軍兵士と警察官だ。
 独立から10年後の1955年にインドネシアで初めて行われた総選挙では、軍人と警察官にも選挙権が与えられていた。しかし、65年に起きた親共産党系軍人によるクーデター未遂事件(9・30事件)後、選挙権が認められなくなった。
 事件をきっかけに大統領に就任したスハルト氏の下で行われた2回目(71年)以降の総選挙は、厳しい統制が敷かれたとされる。98年のスハルト政権崩壊後に民主化が進められる中、軍人と警察官に選挙権を与えるべきだとする議論は、元軍人のユドヨノ大統領時代(04〜14年)にもあったが、結論は出ていないままだ。
 一昨年退役した元軍医の男性(60)は、大統領選で投票するのは今回が初めて。世論調査で支持率トップを走る陸軍出身のプラボウォ国防相(72)=グリンドラ党党首=に「現政権の路線を継承してほしい」と期待を寄せるが、選挙権問題については「軍人や警察官は中立的であるべきだ」と語り、現状を変える必要はないとしている。 

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インドネシア大統領選に向け訓練を行う国軍兵士ら=1日、ジャカルタ(EPA時事)
インドネシア大統領選に向け訓練を行う国軍兵士ら=1日、ジャカルタ(EPA時事)

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