与党、「一帯一路」の実績強調=親中路線加速か―8日総選挙投開票・パキスタン 2024年02月07日 18時29分

「中パ経済回廊(CPEC)」の一環で、建設されたパキスタンのトンネル。入り口に中国国旗が掲げられている=6日、北部アボタバード
「中パ経済回廊(CPEC)」の一環で、建設されたパキスタンのトンネル。入り口に中国国旗が掲げられている=6日、北部アボタバード

 【イスラマバード時事】パキスタンの総選挙が8日実施される。選挙戦で優位に立つナワズ・シャリフ元首相率いる与党は、中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の下で進められたインフラ整備を実績として強調。勝利した場合、親中国路線が加速する可能性が高い。
 「私たちは革命をもたらした。以前は何もなく、とても貧しかった」。与党イスラム教徒連盟シャリフ派(PML―N)の選挙CMで、パキスタン上空を飛行するヘリの操縦士が後部座席に向かって話し掛けた。座席にいるのは中国人とみられる男女。眼下には、中国企業により2017年に完成した火力発電所が見える。
 CMがアピールするのは、パキスタン国内の一帯一路事業である「中パ経済回廊(CPEC)」だ。CPECは、中国新疆ウイグル自治区からパキスタン南西部グワダル港まで縦断する道路や鉄道を敷設し、沿線で発電所や港湾を整備する一連の計画を指す。
 一帯一路の「旗艦事業」とも呼ばれたCPECは第3次シャリフ政権(13〜17年)下で本格的に推進され、もともと緊密だった中国との関係はさらに深まった。
 一帯一路を巡っては提唱から10年となった昨年、恩恵の乏しさからイタリアが離脱するなど、曲がり角を迎えている。パキスタンでもCPECに伴う巨額の対中債務が財政を圧迫し、経済危機の一因となっている。CPECの見直し論も浮上したが、22年4月にPML―Nが政権を奪還すると推進の方針を改めて明確にした。
 一帯一路の求心力を維持したい中国はパキスタンを重視。中国外務省の汪文斌副報道局長は今年1月24日の記者会見で「CPECをアップグレードし、さらに緊密な中国とパキスタンの関係構築を加速させる用意がある」と述べた。 

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