早期利下げ期待をけん制=インフレ低下持続「確信欲しい」―米FRB議長 2024年02月01日 14時50分

米連邦準備制度理事会(FRB)のビル=ワシントン(AFP時事)
米連邦準備制度理事会(FRB)のビル=ワシントン(AFP時事)

 【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)は1月31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を4会合連続で年5.25〜5.50%に据え置いた。米国のインフレ率は順調に低下し、市場では3月の次回会合で利下げを始めるとの観測も浮上。しかし、パウエル議長は、インフレが持続的に鈍化する見通しに「より大きな確信が欲しい」と述べ、早期利下げ期待をけん制した。
 米インフレ率は、昨年12月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比2.6%上昇と、FRB目標の2%に近づいた。だが、パウエル氏は今回、「インフレは依然として高過ぎる」との見解を堅持した。
 FRBは「今年のある時点で、金融引き締めを弱めるのが適切」(パウエル氏)と、23年ぶりの高水準にある政策金利の引き下げを視野に入れる。ただ、「大きな確信」をなお求めるのは、これまでのインフレ鈍化が、コロナ禍の供給網混乱で値上がりした自動車などの価格下落によってもたらされたためだ。
 パウエル氏は、モノの値下がりが間もなく落ち着き、横ばい程度となるのが「妥当な想定だ」と指摘。かわってサービス価格がインフレ減速に「もっと寄与する必要が出てくる」と強調した。
 家賃などのサービス価格は、一時ほどの勢いはないものの、今も高い伸びを示す。しかも、旺盛な消費が需要を押し上げており、インフレ率が「2%を相当程度上回る水準で高止まりするリスク」(パウエル氏)は軽視できない。
 インフレ抑制と成長維持を両立する「ソフトランディング(軟着陸)」は、歴史的に「非常に珍しく、達成は極めて難しい」(FRB高官)とされる。それだけに、パウエル氏は「現時点では勝利宣言はしない」と、慎重姿勢に徹している。 

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