4万5000年前の人骨化石=現生人類、ドイツ中部洞窟で発見―寒冷でも大型動物追う?・国際チーム 2024年02月01日 01時14分

イルゼン洞窟で発掘された現生人類(ホモ・サピエンス)の骨片化石(ドイツ・テューリンゲン州政府提供)
イルゼン洞窟で発掘された現生人類(ホモ・サピエンス)の骨片化石(ドイツ・テューリンゲン州政府提供)

 ドイツ中部テューリンゲン州のラニス城にあるイルゼン洞窟を発掘し直し、約4万5000年前と推定される現生人類(ホモ・サピエンス)の骨片化石を発見したと、独マックスプランク研究所などの国際研究チームが31日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 当時の欧州中部は寒冷で、現代のシベリアや北欧のような気候だった。現生人類はアフリカで30万〜20万年前に出現した後、中東や欧州などに進出したが、約4万5000年前にアルプス山脈の北側に到達していたことが明確になったのは初めて。研究チームは寒さが厳しくても、狩りの対象となるトナカイなどの大型動物の群れがいる環境の方が魅力的だったとの見方を示した。
 イルゼン洞窟は岩山の下部にあり、上部には中世になってラニス城が築かれた。最初の発掘は1930年代に行われ、細長い木の葉のような形の石器が多数出土した。4万数千年前は旧人類のネアンデルタール人から現生人類への移行期に当たり、人骨と断定できる化石が見つからなかったため、どちらの人類が石器を作ったかが長らく不明だった。
 研究チームは2016〜22年に再発掘し、前回の発掘で調べられなかった地下の巨岩の下も調査。新たに見つかった骨片化石を前回出土して保存されていた骨片化石とともに最新の技術で分析したところ、細胞小器官ミトコンドリアのDNAやたんぱく質から現生人類の骨片を13個特定できた。放射性炭素に基づき年代も測定した。
 トナカイやバイソン、シカ、ウマなどの骨の化石も分類でき、狩りをして食べたとみられる。 

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イルゼン洞窟で発掘された石器。現生人類(ホモ・サピエンス)が作ったと推定された(ドイツ・ラニス城博物館提供)
イルゼン洞窟で発掘された石器。現生人類(ホモ・サピエンス)が作ったと推定された(ドイツ・ラニス城博物館提供)
ラニス城の下にあるイルゼン洞窟の入り口。約4万5000年前の現生人類(ホモ・サピエンス)の化石が発掘された(ドイツ・テューリンゲン州政府提供)
ラニス城の下にあるイルゼン洞窟の入り口。約4万5000年前の現生人類(ホモ・サピエンス)の化石が発掘された(ドイツ・テューリンゲン州政府提供)

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