貿易・投資で利害、関与強化=ミャンマー全面停戦は見通せず―中国 2024年01月31日 15時47分

ミャンマー西部ラカイン州チャウピューの海岸に設けられた中国企業の石油精製施設=2019年10月(AFP時事)
ミャンマー西部ラカイン州チャウピューの海岸に設けられた中国企業の石油精製施設=2019年10月(AFP時事)

 【北京、バンコク時事】ミャンマー紛争を巡り、貿易や投資で利害関係が深い隣国の中国は、国軍と一部の少数民族武装勢力の停戦を仲介するなど関与を強めている。ただ、ミャンマー各地に広がった戦闘は依然、終息しておらず、全面的な停戦の実現は見通せない。
 昨年10月以降に北東部シャン州で激化した三つの少数民族武装勢力と国軍との戦闘では、道路などが閉鎖されたり、破壊されたりし、国境を接する中国との貿易に多大な支障が生じた。中国の仲介で今年1月に国軍と3勢力の一時停戦が合意に至った際、国軍のゾーミントゥン報道官は「国境貿易の輸送路の再開について中国とミャンマーは協議を続ける」と述べた。
 中国にとってミャンマーは、インド洋につながる地政学的に重要な国だ。西部ラカイン州チャウピューでは、中国企業の主導で経済特区と港湾の開発が進んでいる。
 中国はまた、国内で深刻な被害を出している電話・インターネット詐欺の拠点がミャンマーにあることから、国軍に取り締まりを要求している。中国公安省は1月、昨年だけで約4万1000人の詐欺容疑者がミャンマーから移送されたと明らかにした。
 だが、「中国の関与は自国の利益に関係する部分にとどまる」(外交筋)という見方も多い上、中国の各勢力への影響力にも限界がある。停戦合意後もラカイン州などで3勢力の一部と国軍の衝突は続き、別の少数民族や民主派も攻勢に出ている。国軍が東南アジア諸国連合(ASEAN)と合意した「全当事者による対話」の実現は、困難な情勢だ。 

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