経営不振、恒大にとどまらず=需要減で危機深刻化も―中国 2024年01月29日 17時01分

中国不動産不況、人影のない貴州省遵義市のマンション=8日
中国不動産不況、人影のない貴州省遵義市のマンション=8日

 【北京時事】中国不動産開発大手の中国恒大集団に清算命令が出た。ただ、不動産不況の長期化を背景に、経営不振の事業者は恒大にとどまらない。清算命令が住宅需要のさらなる減退を招き、業界の危機的状況が一段と深刻化する悪循環に陥る可能性もある。
 2021年に恒大の経営危機が浮上したのをきっかけに、中国では不動産市場の先行き懸念が広がった。住宅需要が急減し、これが事業者の経営を直撃。23年8月には業績が比較的安定していた最大手の碧桂園の苦境も判明するなど影響が広がった。
 政府は、恒大が経営破綻に陥った原因となった厳格な融資規制を撤回し、住宅ローン金利も引き下げた。ただ、23年の住宅販売面積は前年比8.2%減と、2年連続で前年割れ。これが足かせとなり、国内総生産(GDP)は5.2%増と、政府目標の「5%前後」をぎりぎり達成する水準にとどまった。
 大和総研によると、上場するデベロッパーの半数以上がデフォルト(債務不履行)に陥っており、大半は恒大と同じ民営事業者という。齋藤尚登主席研究員はリポートで、政府による民営企業への支援強化が不動産市場の「安定化」に向けたカギになると指摘。積極的な財政政策も講じられた場合、24年の経済成長率が5%程度になるとの見通しを示した。 

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