避難先タイから故郷支援=ミャンマーの少数民族―クーデター3年 2024年01月28日 14時21分

タイ北西部メーホンソン県とミャンマー東部カヤ州の国境地帯で、ミャンマー向け支援物資を運ぶ男性ら=11日撮影(タウィーウィットさん提供・時事)
タイ北西部メーホンソン県とミャンマー東部カヤ州の国境地帯で、ミャンマー向け支援物資を運ぶ男性ら=11日撮影(タウィーウィットさん提供・時事)

 ミャンマー国軍が2021年にクーデターを強行してから2月1日で3年となる。抵抗勢力との紛争は激化し、市民も巻き添えになっている。タイ北西部メーホンソン県には国境を接するミャンマー側から多数の少数民族が避難。難民の中には帰国を断念して困窮する故郷の人たちへの支援を始めた人がいる。
 ミャンマー東部カヤ州で生活していた少数民族カレンニー族のサベオさん(40)は農家だったが、クーデター後は紛争により農地が荒れるなどし、続けられなくなった。さらに22年10月、国軍の攻撃で家を焼かれ、妻(34)や8歳と6歳の2人の子供と共にタイにやって来た。
 メーホンソンでは、タイとミャンマー両国で暮らす別の少数民族カレン族出身で、タイ人のタウィーウィットさん(51)の支援を受けた。労働許可証を取得し、子供も就学できた。
 生活基盤を得たサベオさんは「帰国しても仕事はなく、タイに残りたい」と語る。ミャンマー国内の避難民キャンプなどに食料や物資を届けるタウィーウィットさんらの活動に参加しており、「避難民の置かれた状況は過酷だ。少しでも多くの人を助けたい」と力を込めた。
 タウィーウィットさんは、国軍による空爆や埋められた地雷などで負傷したミャンマーのカレンニー族やカレン族らを一時的に受け入れ、タイの病院に連れて行く施設の運営にも関わる。23年は計82人の男女が利用した。
 国軍への抵抗勢力に所属し、戦闘中に負傷した若者らもおり、太ももをけがした男性(24)は「国軍の残虐な行為は許せず、回復したら戦闘に復帰する」と強調した。タウィーウィットさんは「ミャンマーの平和と民主化を望んでいる。実現すれば、人々はより良い生活を送ることができる」と訴えた。 

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