米、イランへの圧力迫る=中国にフーシ派商船攻撃巡り―今春に首脳電話会談も 2024年01月28日 07時14分

サリバン米大統領補佐官(写真左)と中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)
サリバン米大統領補佐官(写真左)と中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)

 【ワシントン時事】サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はタイの首都バンコクで27日まで2日間行われた中国の王毅共産党政治局員兼外相との会談で、紅海周辺で商船攻撃を繰り返す親イラン武装組織フーシ派への対応を協議した。サリバン氏はイランへの影響力行使を王氏に迫ったが、フーシ派の攻撃停止につながるかは不透明だ。
 米政府高官が記者団との電話会見で明らかにした。サリバン氏は会談でイランがフーシ派支援を通じ、「地域の緊張と不安定化を悪化させる無責任な行動を続けている」と非難。フーシ派の攻撃をやめさせるため、「中国がイランへの多大な影響力を行使することが重要だ」と訴えた。
 王氏はこれに対し、商船攻撃については「イランに問題提起している」(米高官)と説明し、緊張緩和を目指す姿勢をアピール。米側は「国際海運の不安定化は米中だけでなく、世界貿易にとっても深刻な懸念」(同)と見ており、中国側の対応に実効性があるか注視する構えを示している。
 ロイター通信は会談に先立ち、商船攻撃停止を巡り、中国がイランに複数回にわたり働き掛けていたと報道。対応しなければ両国の経済関係に影響が出ると警告したと伝えられたが、米専門家はロイターに対し、中国はイランがフーシ派を完全に掌握していないことも認識していると指摘した。
 サリバン氏と王氏は首脳を含む意思疎通の維持で一致。米高官によると、バイデン大統領と習近平国家主席の電話会談が今春にも行われ、ブリンケン国務長官が年内に訪中する見通し。海上での衝突防止を話し合う「軍事海洋協議協定(MMCA)」に基づく対話も春ごろ開き、国防相会談を数カ月以内に開催する。いずれも具体的な日程は不明だ。
 会談は2日間で計12時間を超えた。台湾やミャンマーの情勢のほか、北朝鮮の核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力を巡る問題なども議論した。
 人工知能(AI)に関する安全やリスクについても意見交換し、今春にAIに関わる対話を行うことで一致。今月30日には合成麻薬対策を話し合う作業部会を立ち上げる。 

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