12件すべて日本企業敗訴=不二越の賠償確定―韓国最高裁 2024年01月25日 18時36分

25日、ソウルの韓国最高裁前で喜ぶ元女子勤労挺身(ていしん)隊員ら(EPA時事)
25日、ソウルの韓国最高裁前で喜ぶ元女子勤労挺身(ていしん)隊員ら(EPA時事)

 【ソウル時事】韓国最高裁は25日、元女子勤労挺身(ていしん)隊員らが戦時中に工場で過酷な労働を強いられたとして、工作機械メーカーの不二越(本社・東京)に損害賠償を求めた3件の訴訟で、いずれも不二越側の上告を棄却した。最高裁で審理された元徴用工関連訴訟12件すべてで判決が出そろい、日本企業の敗訴が確定した。地裁や高裁では他にも50件超とされる訴訟が続いている。
 不二越を巡る判決確定は初めて。原告1人当たり8000万~1億ウォン(約880万~1100万円)、計21億ウォン(約2億3000万円)の賠償金支払いを命じる判決が確定した。
 日本政府は、1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場。判決を受け、鯰博行外務省アジア大洋州局長は在日韓国大使館の金壯※(※火ヘンに玄)次席公使に「極めて遺憾で、断じて受け入れられない」と抗議した。
 不二越は「本件は日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みで、判決は極めて遺憾だ。日本政府とも連携を取り適切に対応する」と表明した。
 韓国の尹錫悦政権は昨年3月に発表した解決策に基づき、勝訴が確定した原告らに、政府傘下の財団が肩代わりする形で賠償金相当額を支払う。ただ、財源は主に韓国の鉄鋼大手ポスコが寄付した40億ウォン。財団は既に25億ウォン超を支給に充てた。賠償確定が相次ぎ、新たな寄付がなければ財源が不足する。
 韓国最高裁は2018年、元徴用工訴訟で新日鉄住金(現日本製鉄)と三菱重工業に賠償を命じた判決を初めて確定させた。昨年12月21日以降、今回を含めて残っていた計9件で判決を出し、日本企業の上告を棄却した。 

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