三菱重工、日立造船の賠償確定=元徴用工らまた勝訴―韓国最高裁 2023年12月28日 11時17分

28日、ソウルの韓国最高裁に向かう元徴用工訴訟の原告ら
28日、ソウルの韓国最高裁に向かう元徴用工訴訟の原告ら

 【ソウル時事】韓国最高裁は28日、戦時中に強制労働させられたとする元徴用工や元女子勤労挺身(ていしん)隊員らが、三菱重工業と日立造船に損害賠償を求めた3件の訴訟で、いずれも日本企業の上告を棄却した。同様の訴訟で上告が棄却された21日に続き、日本企業に賠償を命じた原告勝訴の判決が確定した。日立造船の賠償責任が確定するのは初めて。
 日本政府は、1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場だが、最高裁は原告らの日本企業への慰謝料請求権は、協定の適用対象に含まれていないとした2018年の最高裁判決を踏襲。両社に対し、元徴用工や元挺身隊員ら1人当たり約326万~1億2000万ウォン(約36万~約1300万円)の支払いを命じた。
 最高裁は18年、日本企業に賠償を命じる判決を確定させ、日韓関係が悪化。尹錫悦政権は今年3月、政府傘下の財団が日本企業の賠償を肩代わりする解決策を示し、関係改善に道筋を付けた。韓国外務省は28日、新たに判決が確定した原告らにも解決策に基づき対応する方針を表明した。
 日本外務省の鯰博行アジア大洋州局長は、在日韓国大使館の金壯※(※火へんに玄)次席公使を同省に呼び、判決は「断じて受け入れられない」と抗議。三菱重工と日立造船は、賠償問題は日韓請求権協定で解決済みだとし、「極めて遺憾」とそれぞれコメントした。
 28日に判決が言い渡されたのは、元徴用工や元挺身隊員らが三菱重工に損害賠償を求めた訴訟2件と、元徴用工が日立造船を相手取った訴訟1件。いずれも一、二審で原告が勝訴していた。
 他にも係争中の徴用を巡る訴訟は少なくとも60件あり、今後も同様の判決が続く可能性がある。韓国政府は、財団による賠償肩代わりでの決着を目指すが、原告勝訴が続けば財団からの支給が膨らみ、財源が不足する恐れも指摘される。受け取りを拒む原告もおり、解決は難航している。 

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28日、ソウルの韓国最高裁で判決後に取材に応じる元徴用工訴訟の原告側
28日、ソウルの韓国最高裁で判決後に取材に応じる元徴用工訴訟の原告側

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