G7サミット「結束」焦点=トランプ氏再登板後初―1週間後開幕、首脳声明見送りも 2025年06月07日 15時06分

トランプ米大統領=5日、ワシントン(AFP時事)
トランプ米大統領=5日、ワシントン(AFP時事)

 カナダ西部カナナスキスでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)開幕が1週間後に迫った。トランプ米大統領の再登板後初めてのG7サミットとなる。貿易やウクライナ情勢を巡るトランプ政権の対応が世界を揺るがす中、G7の結束を演出できるかが焦点だ。決裂を避けるため、首脳声明取りまとめが見送られる可能性も浮上している。
 G7サミットは15~17日。7カ国首脳のうち石破茂首相ら4人が初参加で、国際情勢、世界経済、新興技術、経済安全保障について議論する。中国やロシアが覇権主義的な動きを強める中、議長国カナダはG7の連携をアピールしたい考えだ。
 不安材料はトランプ氏だ。トランプ氏が就任後に打ち出した関税措置は国際貿易を混乱させ、世界経済の不確実性を高めた。日本は措置撤廃に向けて米国と交渉を継続。英国はいち早く一定の合意を発表したが、カナダは報復関税を発動し、欧州連合(EU)も報復の構えを見せる。
 トランプ氏の保護主義的な姿勢は、G7が重視してきた自由貿易の理念と相いれない。第1次トランプ政権時代の「G6プラス1」の構図が再び浮き彫りになる恐れも否定できない。
 ウクライナ情勢を巡っても意見対立が表面化する可能性がある。2022年のロシアのウクライナ侵攻以降、G7は対ロ制裁とウクライナ支援で結束してきたが、トランプ氏はロシア寄りの姿勢を折に触れてにじませている。日本外務省幹部は「トランプ氏がいる限り、関税問題とウクライナ対応では一致できない」と語った。
 第1次トランプ政権時代にはG7の足並みの乱れがあらわになった経緯もある。18年にカナダ東部シャルルボワで開かれたサミットでは首脳声明が採択されたものの、トランプ氏が数時間後に「承認しない」と表明するなど混乱した。
 19年のフランス南西部ビアリッツでのサミットでは、声明を見送る考えだった議長のマクロン仏大統領が、各国の意見を受けて1ページの「首脳宣言」を自ら急きょまとめる異例の対応を取った。
 外交筋によると、カナダは首脳声明取りまとめに向けて準備を進めていない。「合意できるところで合意する意向」とされ、人工知能(AI)、量子、レアアース(希土類)、移民対策などテーマごとの文書採択が検討されている。 

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