中国発「ラブブ」世界的ヒット=フィギュア2200万円落札も 2025年06月15日 14時17分

【北京時事】中国の玩具大手「ポップマート」が展開するキャラクター「ラブブ」が世界的にヒットしている。中国や東南アジアのほか、欧米の店舗にも消費者が殺到。北京で今月行われたオークションでは、希少な大型フィギュアが108万元(約2200万円)で落札された。
ラブブは香港出身のデザイナーが2015年に考案。ウサギのような耳とぎざぎざの歯、いたずらっ子のような目が特徴だ。昨年、韓国の人気グループ「ブラックピンク」のメンバーがSNSで紹介したのをきっかけに人気が急上昇。愛好家だという河南省在住の女性(27)は「不細工だけどかわいくて、見ていると癒やされる」と魅力を語る。
一般的なラブブ人形は定価100元(約2000円)以下だが、ネット上では20倍以上の値段で取引されている。公式ショップでは中が見えない箱に入れられて販売されることが多く、収集や転売目的の大量購入が後を絶たない。
ポップマートの第1四半期の売上高は、中国で前年同期比約2倍、欧米では7~10倍に拡大。米経済誌フォーブスによると、創業者の王寧・最高経営責任者(CEO)は中国第10位の富豪に躍り出た。
習近平政権は近年、中国の国際的なイメージ向上を狙い、知的財産(IP)や文化・観光といったソフト面での国力強化を図っている。外務省の林剣副報道局長は12日の記者会見で「対外開放を進め、世界の人に『クール』な中国を知ってもらう」とアピールした。
一方で、ラブブを巡っては精度の高いコピー商品も流通し、知財保護体制の整備が急務となっている。中国メディアの第一財経は「ラブブ人気に伴う経済現象は、文化・クリエーティブ産業における権利保護の強度を測る試金石になる」と指摘した。