利上げ停止時期、間近か=FOMCの経済見通し・FF金利予想 2023年03月25日 09時44分

ゴールデンチャート社] 2023年3月25日

 米連邦公開市場委員会(FOMC)は3月22日、フェデラルファンド金利(FF金利)を0.25%引き上げ、目標レンジを4.75~5.00%とする決定を発表しました。今回の会合の直前、米国地方銀行の破綻やUBSによるクレディスイスの買収といった大きな問題が発生、全米に金融不安が広がる中、FOMCの金融政策決定に注目が集まりました。
 これまでFRBの声明で繰り返し使っていた「継続的な利上げが適切と想定される」のフレーズが消え、パウエル議長は記者会見のスピーチで「継続的な利上げが適切であると想定することはもはや述べていません」と発言、利上げの停止時期が近いことを示唆しています。また、金融不安の広がりは。今後の金融政策に少なからず影響を与えるとみられます。
 今回発表された「FOMCメンバーによる経済見通し・政策金利予想」は、前回(12月)発表からさほど変化していません。この予想のとおり推移するとすれば、この先0.25%の利上げが1回あり、今年末から来年年初あたりに利下げに転じることが予想されます。FF金利推移の予想を視覚的に見ることができるドットプロットも前回から形状があまり変化していません。2024年~2025年にかけて利下げの軌道に乗るとの予想が示されています。

    ※ FRB発表のProjection Materials からゴールデンチャート社が作表

 米国政府とFRBが銀行預金の保証を表明、主要各国がドル資金の流動性確保に協調する動きを見せ、銀行の信用回復に対応を急ぐ姿勢を示していますが、金融不安は依然として払拭されない情勢です。FOMCが想定する金融政策正常化へのシナリオが想定通り進展するか、米国のインフレ動向と銀行への信用回復の進展が鍵を握っています。パウエル議長は、会見スピーチで「ほぼすべての参加者がGDP成長率に対するリスクは下方に偏っていると見ている」と述べています。米国経済が今年中にマイナス成長に落込むことを回避できるか、FRBはぎりぎりの政策判断に迫られると想定されます。次回のFOMCは5月2日と3日(現地時間)に開催の予定。

(H・N)

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