2023年内に5.1%まで利上げ=FOMCの見通し 2022年12月17日 14時32分

[ゴールデンチャート社] 2022年12月17日

 12月14日、連邦公開市場委員会(FOMC)はフェデラルファンド金利(FF金利)を0.5%引き上げ、目標レンジを4.25~4.50%とする決定を発表しました。0.75%の引き上げが4回連続した後、今回、上げ幅は縮小されました。同日、FOMC参加メンバーが提示した「経済・政策金利見通し」を公表しました。

 現状、インフレのピークが見えたことで市場の関心は、FF金利金利のピークの高さと時期、利下げに反転するタイミング、米国経済はリセッションを回避できるかーーにシフトしています。

 FOMCの経済見通しによると、2023年の米実質GDP成長率予測値の中央値は0.2%に下方修正されています。米国経済はマイナス成長には陥らないものの、辛うじてリセッション入りを回避できると想定されています。経済の減速に伴い失業率は4.6%に悪化すると見ています。FF金利は、2023年中に5.1%に達するとの予測中央値となっていて、前回(9月)の予測から大幅に上方修正されています。ドットプロットを見ると、中央値よりも高いFF金利を主張するFOMC参加メンバーが相当数いることが分かります。このことは、米国の経済情勢によっては、さらなる利上げの可能性もあると考えられます。PCE物価指数で評価されるインフレ率は、2023年中には3.2%にまで下がる予測中央値となっているものの、依然としてFRBが目標とする2%からはほど遠い状態が続くとみられます。

 パウエル議長は「インフレ退治を最優先し、引締め政策を維持する」との発言を繰り返し、ブレがないことから判断して、FF金利の利上げは2023年の前半に実施される可能性が高まっています。現時点からピークまでおよそ0.75%の差があり、次回2月、3月のFOMCで利上げが決定され、遅くとも5月にはピークに達し、その後、下半期にかけピーク状態が維持されると予想されます。利下げのタイミングが訪れるのは2023年年末から翌年年初あたりと考えられます。

 こうしたFOMCのFF金利予測の軌道は、今後毎月発表される主要な経済指標をつぶさに見ていくことで、FOMCの金融政策決定への影響が想定でき、修正していくことができます。特に重要な経済指標は、消費者物価指数、PCE物価指数、雇用統計(失業率、非農業部門就業者数、平均賃金)、小売売上高、生産者物価指数、鉱工業生産指数などとなります。次回の経済・政策金利見通しは2023年3月のFOMC直後に公表されます。

  ※ FRB発表のProjection Materials からゴールデンチャート社が作表

(H・N)

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