年内に4.4%まで利上げ=FOMC見通し 2022年09月26日 10時16分
米連邦準備理事会(FRB)は、9月21日、連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド金利(FF金利)を0.75%引き上げ、3.0~3.25%とする決定を発表した。今回の0.75%の引上げは3会合連続となる。同日、FRBはFOMC参加メンバーが提示した「経済・政策金利見通し」を公表した。
FOMCの経済見通しによると、米国の経済成長率の中央値は2022年は0.2%と大幅に減速する予想となっている。FF金利の予想中央値は、2022年末までに4.4%に、2023年末には4.6%と前回6月の予想値よりも大幅に上方修正されている。FOMCは年内に2回(11月上旬、12月中旬)開催予定だが、それぞれ0.5~0.75%の利上げが決定される可能性が高まっている。この間、年末までに米消費者物価指数の発表が3回あり、インフレのピークが見えてくるのか否か、注目される。
この先3年間のFF金利見通しのドットプロットを見ると、2022年内に異常な利上げが続いた後、2023年を通して5%に接近する水準の金利が維持され、利下げが始まるのは2024年でそれでも安定的な水準よりも高く、2025年なってようやく目標に近づくといった軌道が見て取れる。ただ、2024年と25年のドットプロットは縦長に拡散されていて、確度は相当低いものとみられる。
パウエル議長は、9月21日の記者会見で「経済成長を犠牲にしてもインフレ抑制を最優先し、インフレ率の低下がしっかり確認されるまで、この金融政策を維持する」との強い決意を述べた。今年3月時点の見通しでは、ソフトランディングを想定していたとみられたが、ここにきて「ハードランディングもやむなし」との姿勢に転向したと言えるのではないだろうか。
4%台のFF金利がこの先予想以上の期間に渡り維持されるとの見通しが公表された9月22日(日本時間)、マーケットは大きく反応した。
- 早朝、ニューヨーク株式市場は、ダウ工業株30種平均が313.35安、ナスダック総合指数が109.97安で引けた。
- 米国債利回りは上昇、2年もの国債の利回りが10年ものを上回る現象が拡大した。この逆イールドカーブ現象が発生した1年半先には、深刻な景気後退と株価低迷に陥る可能性が高いとの定説がある。日米金利差は更に拡大した。
- 夕方、日銀金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は「当面利上げせず」と発言、これを受け、円が急落、1ドル146円に接近。その直後、政府・日銀は為替介入を実施した。24年ぶりの介入だった。
- この日、スイス中銀が0.75%の利上げを発表、マイナス金利脱却、英国イングランド銀行が0.5%の利上げを発表した。
(H・N)
[ゴールデンチャート社]
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