7月の会合でも0.5~0.75%の利上げを=パウエル議長記者会見スピーチ 2022年06月16日 11時04分

 FRBパウエル議長は6月15日、FOMC直後の記者会見冒頭のスピーチで0.75%の利上げに踏み切った経緯と今後の展開をFOMC参加メンバーが提示した経済見通しと政策金利見通しを基に語りました。

FOMC記者会見、パウエル議長冒頭スピーチ(要旨)

[日本語訳 ゴールデンチャート社] 2022年6月16日

  •  労働市場は極めてタイトであり、インフレ率は高すぎる。このような背景から本日、連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を3/4ポイント引き上げ、今後も金利の引き上げが適切であるとの見通しを示した。さらに私たちはバランスシートの規模を大幅に縮小するプロセスを継続していく。
  • 最近の経済指標では、消費支出が引き続き堅調であることから実質GDPの成長率が今期は回復していることが示唆されている。一方、企業の設備投資の伸びは鈍化しており、住宅ローン金利の上昇もあって住宅部門の活動は軟化しているようにみえる。ここ数カ月の金融引き締めは、引き続き成長を抑制し、需要と供給のバランスを改善するのに役立つと思われる。FOMC参加メンバーは経済活動の予測を下方修正し、2024年までの実質GDP成長率の予測の中央値は、2%を下回ることになった。
  • 総需要は堅調だが供給の制約は予想より大きく長く続き、物価上昇圧力は広範な財・サービスに及んでいる。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油などの価格高騰は、ガソリンや食料の価格を押し上げ、インフレにさらなる上昇圧力を与えている。また、中国におけるコロナウィルス関連のロックダウンは、サプライチェーンの混乱を悪化させる可能性が高い。
  • FOMC参加メンバーは、今年のインフレ予測、特に食料とエネルギー価格の動向からPCE総インフレ率の予測を上方修正した。中央値は今年5.2%、来年は2.6%、2024年は2.2%に低下する。参加メンバーは依然としてインフレに対するリスクは上方に偏っていると見ている。
  •  当委員会はフェデラルファンド金利金利の目標レンジを3/4%ポイントの引き上げを決定、その結果、今年に入ってから目標レンジは1.5%ポイント上昇した。当委員会は、目標レンジの継続的な引き上げが適切であると予想していることを改めて表明した。そして、金融政策のスタンスを固める上で重要な役割を果たすバランスシートの規模を大幅に縮小するプロセスを続けている。
  • 前回5月の会合で、経済・金融情勢が期待通りに進展すれば、今回の会合で目標レンジを1/2ポイント引き上げることを検討すべきだとの意見が多く出された。また、インフレリスクに高い関心を持ち、入ってくるデータと見通しの変化に機敏に対応することを表明した。その後、インフレ率は再び上昇に転じ、インフレ期待を示すいくつかの指標は上昇し、今年のインフレ予測は大幅に上方修正された。こうした動きを受けて、当委員会は、本日の会合で目標レンジをより大きく引き上げることが正当化されると判断した。
  • 参加メンバーの経済見通しに示されるように、今年末のフェデラルファンド金利の水準の予測の中央値は3.4.%であり、3月の予測より1.5%高く、長期的な値の予測の中央値より0.9%高い。中央値は来年末に3.8%とさらに上昇し、2024年には3.4%に低下するが、それでも長期的な中央値を上回っている。
  • 本日の75bpの利上げは明らかに異例の大きさであり、このような規模の利上げが頻繁に行われるとは思っていない。本日の時点では、次回会合で50pbまたは75pbの引き上げを行う可能性が極めて高いと思われる。しかし、私たちは会合ごとに意思決定を行い、私たちのの考えをできる限り明確に伝え続けていくつもりである。私たちの最大の焦点は、インフレ率を2%の目標に戻し、長期的なインフレ期待を安定させるために手段を用いることである。
  • このような不確実な環境の中で適切な金融政策を行うには、経済がしばしば予期せぬ形で発展することを認識する必要がある。インフレ率は過去1年間に明らかに上方修正されており、さらなるサプライズが待ち受けている可能性がある。したがって、私たちは入ってくるデータと変化する見通しに機敏に対応する必要がある。我々は、インフレ・リスクに強い関心を持ち、物価の安定を回復するために必要な措置をとることを決意している。米国経済は非常に堅調であり、金融引き締めに対応する態勢が整っている。

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■関連情報(外部サイト)

FOMC記者会見議事録(FRB原文、PDF)