インフレとウクライナ、難しいかじ取り=パウエル議長議会証言 2022年03月03日 09時33分

[ゴールデンチャート社]2022年3月3日

 米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長は、3月2日、米下院金融サービス委員会で証言し、インフレを抑制するため、3月15日、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド金利の目標レンジを引き上げることが適切だと表明した。また、ロシア軍のウクライナ侵攻や欧米を中心とした制裁措置が米国経済に与える影響は非常に不透明で、経済が予期せぬ方向に変化することを認識する必要があり、経済データと見通しの変化に機敏に対応する必要があると述べた。

パウエル議長の冒頭スピーチ(要旨)

経済情勢の現状と見通し

  • 昨年の経済活動は、予防接種の進展や経済の再開、財政・金融政策の支援、家計や企業の健全な財務状況を反映し、5.5%のペースで堅調に拡大。オミクロン株の急速な拡大で、年初には経済活動に若干の減速が見られたが、1月中旬以降、感染者数が激減、経済の減速は短期間に留まったようだ。
  • 労働市場は極めてタイトな状況。2021年の非農業部門就業者数は670万人増加し、1月の雇用も堅調な増加を示した。失業率はこの1年で大幅に低下、1月には4.0%となり、FOMC参加者の予測の中央値は長期的な正常水準に到達した。労働需要は非常に強く労働力人口は増加しているものの、労働供給は依然として低水準に留まっている。雇用主は求人を満たすことが難しく、多くの労働者が転職のために退職し、賃金はここ数年で最も速いペースで上昇している。
  • 昨年、インフレ率は大幅に上昇、現在、長期的な目標値である2%を大きく上回っている。需要は旺盛である一方、ボトルネックや供給制約が生産の迅速な対応を制限している。こうした供給の混乱は、コロナ感染の波によって悪化し、予想以上に大きく長く続いており、物価上昇は現在、より広範な財やサービスに及んでいる。

金融政策

  • 私たち(FRB)は、財政支援の効果減退と金融緩和政策の解除により、供給の制約が緩和し、需要が緩やかになるにつれてインフレ率が年内に低下すると予想している。
  • 持続可能な景気拡大と力強い労働市場を促進しつつ、インフレ率上昇が定着することを防ぐために、政策手段を適切に用いていくことにしている。
  • インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場も堅調であることから、今月末の会合でフェデラルファンド金利の目標レンジを引き上げることが適切であると予想している。
  • バランスシートの縮小は、金利引き上げのプロセスが始まった後に開始され、主に再投資の調整を通じて予測可能な方法で進められるだろう。
  • ウクライナへの侵攻、進行中の戦争、制裁措置、および今後の出来事が米国経済に与える短期的な影響はなお非常に不透明。このような環境下で適切な金融政策を行うには、経済が予期せぬ方向に変化することを認識する必要があり、私たちは、入ってくるデータと見通しの変化に機敏に対応する必要がある。

 ウクライナ情勢がFOMCの利上げペースやバランシート縮小開始時期とペースに影響があるとみられる。ロシア軍によるウクライナ侵攻に対応し、欧米はロシアへの強い経済制裁を決定、日本もG7の一員としてこれに足並みを合わせた。原油、穀物、メタルなどの原材料価格が急上昇、米国のインフレ高騰に追い打ちをかけ、経済成長の鈍化も想定される。FRBは、ゼロ金利政策解除という大きな節目を目前とし、突然表面化したウクライナ危機に直面、先行き不透明さが深まる中、金融政策は難しい判断が求められる情勢となっている3月15日、16日のFOMCでは経済見通しが公表される。前回12月の経済見通しから大きく変化すると予想される。

(H・N)

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パウエル議長議会証言 3月2日(FRB原文)