12月15日 パウエル議長オープニング・ステートメント=FOMC記者会見 2021年12月17日 09時28分

FOMC終了後記者会見、パウエル議長のオープニング・ステートメント

2021年12月15日

  • フェデラル・ファンド金利の目標レンジを0〜1/4%に維持することを決定。
  • 労働市場の改善とインフレ圧力の上昇に鑑み、資産購入縮小を加速させることを決定。1月中旬には財務省証券で200億ドル、政府系不動産担保証券で100億ドル、それぞれ減額。3月中旬までに証券保有高の増加が停止される見込み。
  • 経済活動はワクチン接種の進展や経済の再開を反映して、堅調なペースで拡大。実質GDP成長率の予測中央値は今年5.5%、来年4%。
  • 労働市場の改善と強い労働需要が示されている中で、経済は最大雇用に向けて急速に進展、FOMC参加者は労働市場の改善が続くと予想し、失業率は年末までに中央値で3.5%に低下すると予想。
  • インフレ率は長期的な目標である2%を大きく上回って推移、来年もその状態が続くだろう。FOMC参加者のインフレ見通しの中央値は、今年は5.3%、来年には2.6%に低下すると予測。
  • パンデミックと経済再開により需要と供給の不均衡がインフレ水準の上昇の一因。
  • ここ数週間のコロナ感染者の増加とオミクロン変異株の出現は、経済見通しに対するリスクとなっている。


パウエル議長のオープニング・ステートメント(全文) 

[日本語訳 ゴールデンチャート社]

 こんにちは。米連邦準備制度理事会(FRB)は、議会から与えられた金融政策目標である最大雇用と物価安定の実現を最大の使命としています。本日、FOMCは、これらの目標達成を支えるために金利をゼロ近辺に維持し、フェデラル・ファンド金利に関する「将来的な金融政策指針(フォワードガイダンス)」に示された基準に向け、経済の進展についての評価を更新しました。さらに、労働市場の改善とインフレ圧力の上昇に鑑み、資産購入の縮小を加速させることを決定しました。これからご説明しますように、経済動向と見通しの変化は、この金融政策の指針変更を根拠のあるものとし、引き続き景気を適切に下支えしていくことになります。

 今年の経済活動は、ワクチン接種の進展や経済の再開を反映して、堅調なペースで拡大、軌道に乗っています。総需要は、財政および金融政策の支援と家計および企業の健全な財務状況に支えられ、極めて堅調に推移しています。ここ数週間のコロナ感染者の増加とオミクロン変異株の出現は、経済見通しに対するリスクとなっています。コロナウイルスや供給制約の影響があるにもかかわらず、FOMC参加者はこれまでどおり経済の急成長を予測しています。「経済見通しの概要」( Summary of Economic Projections)に示すように、実質GDP成長率の予測中央値は今年5.5%、来年4%となっています。

 労働市場の改善と極めて強い労働需要が示されている中で、経済は最大雇用に向けて急速に進展しています。ここ数カ月の雇用増加は堅調で、過去3カ月の平均は月37万8000人でした。失業率は大幅に低下し、前回の会合以来10分の6ポイント低下し、11月には4.2%に達しました。最近の労働市場の改善により、特に賃金分布の下層部に位置する労働者やアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人など、グループ間の雇用の差が縮小しています。労働力人口は11月に喜ばしい増加を示しましたが、高齢化と定年退職が一部影響して、依然として低調です。さらに、本来なら職を求めているはずの人々が、介護が必要となったり、依然としてウイルスへの懸念をもっているなど、パンデミックに関連する要因のために労働力から外れていることが報告されています。同時に、雇用主は求人需要を満たすことが難しく、賃金はここ数年で最も速いペースで上昇しています。ウイルス感染が増加していけば、労働力不足がいつまで続くかを予想するのは困難となります。今後の見通しとして、FOMC参加者は労働市場の改善が続き、失業率は年末までに3.5%に低下するとの予想(中央値)が示されました。参加者は今年と来年の失業率予測を9月の予測より低く修正しました。

 パンデミックと経済再開に関連する需要と供給の不均衡は、依然としてインフレ水準の上昇の一因となっています。特にボトルネックと供給制約が、当面の需要増に対応するための迅速な生産拡大を抑制しています。これらの問題はウイルス感染の波によって悪化し、それは予想以上に大きく長引いています。その結果、全体的なインフレ率は長期的な目標である2%を大きく上回って推移しており、来年もその状態が続くと思われます。インフレ率上昇の要因は、主にパンデミックによる混乱に起因するものでしたが、現在では物価上昇がより幅広い財とサービスに及んでいます。賃金も勢いよく上昇しているが、これまでのところ賃金上昇はインフレ率上昇の主因にはなっていません。生産性を上回る実質賃金の上昇が続くとインフレ率上昇の圧力となる可能性があることに注目すべきと考えています。多くの予測参加者者と同様、私たちは来年末までにインフレ率が2%の長期目標に近い水準まで低下すると想定しています。FOMC参加者のインフレ見通しの中央値は、今年の5.3%から来年の2.6%に低下するとみていますが、このインフレ傾向は9月に予想されたものより高いものとなっています。

 私たちは、インフレ率の上昇が、特に食料、住宅、交通などの必需品の物価上昇をに対応できない人々に大きな苦難を強いることを理解しています。私たちは、物価安定を目標とすることに責任をもっています。私たちは、経済と力強い労働市場を支えるための手段とインフレ率上昇が固定化するのを防ぐための手段の双方から対応していくつもりです。私たちは、経済が期待通りに進展しているかどうか注意深く見守っていきます。

 FRBの金融政策行動は、米国民のために最大限の雇用と安定した物価を促進するという使命に導かれてきました。これらの使命を達成するため、当委員会はフェデラル・ファンド金利の目標レンジを0〜1/4%とすることを再確認しました。また、私たちは、フェデラル・ファンド金利に関する「将来的な金融政策指針(フォワードガイダンス)」に示された基準に向け、経済の進展についての評価を更新しました。インフレ率がこのところ2%を超えていることから、当委員会は、労働市場の状況が当委員会が評価する「最大雇用」と一致する水準に達するまで、この目標レンジを維持することが適切であると想定しています。

 利上げに関する検証が残されていますが、FOMC参加者全員は、これは来年になると予想しています。フェデラル・ファンド金利の適切な水準に関する予測の中央値は、2022年末時点で0.9%で、9月の予測より約0.5%ポイント高くなっています。参加者は金融引き締めのペースは緩やかで、2024年末にはフェデラル・ファンド金利 の水準が概ね長期的な水準とされるレベルに徐々に近づいていくと予想しています。もちろん、これらの予測は当委員会の決定や計画を表すものではないと同時に、1年以上先の経済状況を確実に予測できる人はいません。

 また、本日の会合で当委員会は資産購入の削減ペースを倍増することを決定しました。1月中旬には、資産買い入れペースを財務省証券で200億ドル、政府系不動産担保証券で100億ドル、それぞれ減らしていくこととしました。経済が予想通り幅広く進展していけば、資産買い入れペースは同額の減額が毎月実施される可能性が高く、これは、11月初めに予想したよりも数カ月早く、3月中旬までに証券保有高の増加が停止されることを示唆しています。インフレ圧力が高まり、労働市場が急速に改善していることから経済はもはや多大な金融支援を必要としないため、私たちは買い入れの縮小をより迅速に段階的に実施していきます。さらに、より早い資産買い入れの終了は、経済が妥当な成果を得るよう対応するため金融政策をより良い位置付けにさせるでしょう。私たちは経済見通しの変化があり、正当な根拠がある場合には、買い入れのペースを調整する余地を残しています。バランスシートの拡大が停止した後も、保有する有価証券は緩和的な金融環境を支え続けるでしょう。

 最後に、私たちは、FRBの行動が全米の地域社会、家族、企業に影響を与えることを理解しています。私たちが行うことはすべて、私たちのの公的使命に奉仕するためであります。FRBは、雇用の回復を完了させ、物価安定の目標を達成するためにできる限りのことをしていくつもりです。

 ありがとうございました。ご質問をお待ちしています。

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