米制裁と利上げに不満=ドル基軸は経済的理由―専門家 2024年02月24日 14時17分

米ボストン大のメーリング教授(ボストン大提供・時事)
米ボストン大のメーリング教授(ボストン大提供・時事)

 【ワシントン時事】米ボストン大のペリー・メーリング教授(国際政治経済)は23日までに時事通信のインタビューに応じ、新興国の「ドル離れ」の動きについて、制裁を通じたドルの「武器化」や、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げへの不満が背景との見方を示した。一方、ドル基軸は政治的ではなく経済的な理由が背景で、今後も維持されると見通した。
 メーリング氏は現在の国際金融システムは「ドルをトップとするヒエラルキーだ」と明言。こうした体制に対し、ウクライナ侵攻を受けた米欧主体の制裁の一環で、ロシアを国際決済網から排除したことが「不満の引き金となった」と話した。
 また、FRBの利上げによる国際的な金利上昇で、途上国の対外債務負担が増大。「米金融政策は世界の金融政策だが、パウエルFRB議長の責任は米国のみ。ヒエラルキー下の不遇に焦点が当たる機会となった」と分析した。
 中国は人民元の国際化を進めており、国際決済での元の使用が徐々に増えている。メーリング氏は元使用の一部が「制裁により促進された」と指摘。ただ、中ロなど2国間貿易での支払いなら「元であろうとロシア・ルーブルであろうと、大した問題ではない」とし、ドル体制に影響はないとの認識を明らかにした。
 メーリング氏は、1971年にドルと金の交換停止を宣言した「ニクソン・ショック」で「ドル体制は終わった」と思われたものの、その後も国際的な金融機関が「オフショア(海外)」のドル体制を維持したと強調。ドル基軸は「政治的な産物ではなく、経済的利益の産物だ」とし、「ドルが地位を失う方には賭けない」と述べた。 

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