【2023年10月30日~31日】金融政策決定会合の結果(要約) 2023年10月31日 16時37分

前回(2023年9月22日公表)との比較まとめ

1.長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)

 「長期金利の変動幅を「±0.5%程度」を目途」としていたところを、「長期金利の上限は1.0%を目途」へ修正。

①次回金融政策決定会合までの金融市場調整方針

【短期金利】日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用。

【長期金利】10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買入れ。

②長短金利操作の運用

 長期金利の上限は 1.0%を目途とし、上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、大規模な国債買入れを継続するとともに、各年限において、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。

2.資産買入れ方針

 前回会合から据え置き。

【ETF】年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。

【J-REIT】年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。

【CP等、社債等】CP等は、約2兆円の残高を維持する。社債等は、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へと徐々に戻していく。ただし、社債等の買入れ残高の調整は、社債の発行環境に十分配慮して進めることとする。

3.その他

  • わが国の物価情勢を展望すると、物価見通しは7月の展望レポートと比べて上振れている
  • 消費者物価の基調的な上昇率は、見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくとみているが、その際には賃金と物価の好循環が強まっていく必要がある
  • 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで粘り強く金融緩和を継続することで、経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく方針
  • 長短金利操作の運用において、柔軟性を高めておくことが適当であり、現在の状況において、原則として毎営業日 1.0%の利回りで連続指値オペを実施し、長期金利の上限を厳格に抑えることは、強力な効果の反面、副作用も大きくなりうると判断し、大規模な国債買入れと機動的なオペ運営を中心に金利操作を行うこととした
  • 賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく
  • マネタリーベースは、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続
  • 引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる

■当面の金融政策運営について(2023年10月31日)

1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、長短金利操作の運用をさらに柔軟化することを決定した。具体的には、長期金利の目標を引き続きゼロ%程度としつつ、その上限の目途を1.0%とし、大規模な国債買入れと機動的なオペ運営を中心に金利操作を行うこととする。こうした運用のもとで、日本銀行としては、粘り強く金融緩和を継続する方針である。
  長短金利操作、資産買入れ方針については、以下のとおりとする。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)

①次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする(全員一致)。

 短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。

 長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。

②長短金利操作の運用(賛成8反対1)

 長期金利の上限は 1.0%を目途とし、上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、大規模な国債買入れを継続するとともに、各年限において、機動的に、買入れ額の増額や指値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する。

(2)資産買入れ方針(全員一致)

 長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

②CP等は、約2兆円の残高を維持する。社債等は、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へと徐々に戻していく。ただし、社債等の買入れ残高の調整は、社債の発行環境に十分配慮して進めることとする。

2.わが国の物価情勢を展望すると、物価見通しは7月の展望レポートと比べて上振れているが、その主因は、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が長引いていることや、このところの原油価格の上昇である。消費者物価の基調的な上昇率は、見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」に向けて徐々に高まっていくとみているが、その際には賃金と物価の好循環が強まっていく必要がある。日本銀行としては、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで粘り強く金融緩和を継続することで、経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく方針である。引き続き、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点から、賃金と物価の好循環など経済・物価情勢の変化を丹念に確認していく。
 また、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、今後の情勢変化に応じて、金融市場で円滑な長期金利形成が行われるよう、長短金利操作の運用において、柔軟性を高めておくことが適当である。この点、現在の状況において、原則として毎営業日1.0%の利回りで連続指値オペを実施し、長期金利の上限を厳格に抑えることは、強力な効果の反面、副作用も大きくなりうると判断し、大規模な国債買入れと機動的なオペ運営を中心に金利操作を行うこととした。

3.日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく。
 「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。
以上

[ゴールデン・チャート社]

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前回(9月21日~22日開催)金融政策決定会合の結果(要約)

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■参考資料(外部サイト)

金融政策決定会合の結果「当面の金融政策運営について」(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)