イスラエル支持の共同声明=G7、イラン核保有認めず―トランプ米大統領、異例の帰国 2025年06月17日 18時15分

G7サミットの記念撮影で、記者の質問に答えるトランプ米大統領(右端)。左端は石破茂首相=16日、カナダ・カナナスキス(代表撮影・時事)
G7サミットの記念撮影で、記者の質問に答えるトランプ米大統領(右端)。左端は石破茂首相=16日、カナダ・カナナスキス(代表撮影・時事)

 【カナナスキス(カナダ)時事】先進7カ国首脳会議(G7サミット)がカナダ西部のカナナスキスで16日(日本時間17日未明)、開幕した。G7首脳は緊迫する中東情勢に関する共同声明を発表。イスラエルの自衛権と安全保障を支持する一方、イランの核兵器保有を決して容認しない姿勢を明確にした。
 共同声明は「中東の平和と安定に対するコミットメントを改めて強調する」と明記。国際エネルギー市場に関し「市場の安定を守るために連携する用意がある」とした。
 声明はイスラエル寄りの内容で、同国を擁護するトランプ米大統領に配慮することでG7の結束を優先したとみられる。日本を含む参加国が米政権による高関税措置を巡る交渉を続けていることも影響した可能性がある。
 サミットでは、米関税措置を踏まえた世界経済についても討議。G7首脳は、結束して世界経済の諸課題に主導的に対処していく必要があるとの認識では一致した。AFP通信によると、複数の首脳からトランプ氏に「関税紛争」の早期終結を求める声が続出。「この紛争は結果的にG7の経済を弱体化し、中国を強くするだけだ」との指摘もあった。
 覇権主義的な動きを強める中国などインド太平洋地域の情勢に関しては、石破茂首相が「G7としてより一層関与していくことが重要だ」と訴えた。各国首脳は中国を巡る諸課題や核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応で緊密に連携することを確認した。重要鉱物のサプライチェーン(供給網)の多角化についても意見を交わした。
 ロシアが侵攻するウクライナ問題では、中国がロシアの継戦能力を下支えしているとの懸念を共有した。17日(同18日未明)の討議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席。韓国など招待国首脳を交えてエネルギー安保についても議論を行い、閉幕する。
 50年の節目を迎えたサミットは、トランプ氏の再登板でG7の結束が試された。対立を回避するため、首脳宣言の取りまとめは見送る方向で調整している。トランプ氏は中東情勢に対応するとして初日の討議後、カナダを後にした。 

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