米賃金、高止まり=物価安定へ道半ば 2024年01月06日 15時40分

レストランの求人広告=4日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(EPA時事)
レストランの求人広告=4日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(EPA時事)

 【ワシントン時事】米労働省が5日発表した2023年12月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比21万6000人増と、市場予想を上回った。インフレに影響する賃金の伸びも高水準が続いており、米経済の課題となっている物価安定の回復は道半ばだ。
 「ソフトランディング(軟着陸)と言える状況を目にしている」。イエレン財務長官はこの日、23年12月の就業者数の伸びが前月から拡大した雇用統計を踏まえ、成長維持とインフレ抑制が両立する景気の「軟着陸」が実現することに自信を示した。
 一方、同年12月の平均時給は前年同月比4.1%上昇。伸びは前月から加速し、連邦準備制度理事会(FRB)が物価安定に見合った水準とみる3%台半ばを引き続き上回った。
 米インフレ率は、FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数で見れば、目標とする2%に近づいている。供給不足の改善によるモノの値下がりがインフレ低下を主導しているものの、賃金が大きく反映されるサービス価格の伸びは高いままだ。モノの価格が上昇に転じればインフレは再燃しかねない。
 大統領選を11月に控え、堅調な雇用情勢は通常ならバイデン氏再選の追い風になるが、インフレが響き支持率は低迷している。バイデン大統領は5日の声明で、物価高が懸案だと認めた上で、「わたしの権限であらゆることをしている」と焦りもにじませた。 

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