異次元緩和、長期戦の様相に=遠のく2%物価目標―日銀15年上期議事録 2025年07月16日

日銀は16日、2015年上半期(1~6月)の金融政策決定会合の議事録を公表した。13年4月の「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」導入から丸2年。「2年程度で2%」を目指した物価上昇目標の達成が遠のく中、日銀がデフレ脱却で長期戦に追い込まれる様子が浮き彫りとなった。
異次元緩和効果で、一時1%台半ばに上昇した消費者物価(生鮮食品除く)の前年比上昇率だが、14年4月の消費税増税や原油安で失速。その後の追加緩和でも歯止めはかからず、15年には物価はゼロ%前後まで落ち込んでいった。
同年4月8日の会合では、異次元緩和について「所期の政策効果は発揮されている」(中曽宏副総裁)と評価する声が上がる一方、長期化への懸念も相次いだ。佐藤健裕審議委員は、「一種のショック療法だ」と指摘した上で、財政規律の緩みといった副作用が生じるリスクを強調。石田浩二審議委員は「目標達成までにまだ時間を要するとすれば、持久戦に対応したものに組み替えていくことが必要」と述べた。
木内登英審議委員は、「過度な緩和状態を続ければ経済、物価の安定をむしろ損ねる」として、国債保有残高の増加ペースを年間約80兆円から約45兆円に減らすよう提案。岩田規久男副総裁は「デフレへ戻るような金融政策は絶対に避けなければならない」と批判し、中曽氏も「せっかく積み上げた政策効果を減殺してしまう」と反論した。
同月30日の会合で、日銀は2%目標の達成時期を「15年度を中心とする期間」から「16年度前半ごろ」に初めて後ずれさせた。一段の遅れを指摘する声もあったが、「物価の基調は着実に高まってきている」(黒田東彦総裁)として、「2年程度」の目安は維持した。
しかし、消費の回復は鈍いままで、物価は15年後半にマイナス圏に転落。日銀は翌年、異例のマイナス金利政策導入に踏み切り、異次元緩和はさらに長期化することになる。
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