ライセンス生産品の輸出焦点=自公に温度差、月内に協議再開 2023年10月15日

 自民、公明両党は、防衛装備品の輸出ルール緩和に向けた実務者協議を月内に再開する方向で調整に入った。国内でライセンス生産される装備品の扱いが焦点。与党関係者が15日、明らかにした。自民党内では、ウクライナ援助で備蓄が枯渇した米国にライセンス生産の砲弾などを提供できるよう輸出ルールを見直す案が浮上。一方、公明党は大幅緩和に慎重で、議論の先行きは見通せない。
 防衛装備移転三原則の運用指針を見直す協議は、9月の内閣改造・自民党役員人事のため中断。今月下旬に議論を再開し、年内の指針改定を目指す。これまでに政府・与党は国際共同開発をした装備品の第三国への輸出容認や、救難、輸送、警戒、監視、掃海の「5類型」であれば殺傷能力のある武器も輸出可能との見解で大筋一致している。
 現行の指針では、米国がライセンスを持つ装備品の部品に限り輸出が可能。完成品は対象外で、米国以外がライセンス元の装備品も輸出できない。このため移転は広がらず、実績は地対空誘導弾パトリオット(PAC2)の誘導装置やF15戦闘機のエンジンの部品にとどまる。いずれもライセンス元の米国への輸出だった。
 自民党はこうした制限の撤廃を主張。英防衛大手BAEシステムズにライセンス料を支払って日本で製造される155ミリりゅう弾が念頭にある。ウクライナへの大量供与で在庫不足が深刻化する米国に提供し、間接的なウクライナ支援としたい考えだ。
 これに対し、公明党では戦闘支援と受け取られかねないとの懸念が強く、党関係者は「最初から『容認』と書き込むのは無理だ」と語る。年内の衆院解散・総選挙の観測がくすぶる中、意見集約は難航しそうだ。 

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