米FRB、金利上昇を警戒=利上げ打ち止め時期探る 2023年10月13日

 【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)が、金融政策運営を巡り、難しい判断を迫られている。インフレ抑制のため追加利上げを視野に入れる一方、米長期金利が一時約16年ぶりの高水準となる中、引き締めが行き過ぎるリスクも警戒。利上げ打ち止め時期を慎重に探る考えだ。
 米労働省が12日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%上昇と、伸びは前月から横ばいだった。しかし、家賃などの住居費が7.2%の顕著な上昇となり、自動車修理なども伸びが目立った。人手不足でサービス分野を中心に「インフレ圧力が強まっている」(日系証券)とみられている。
 FRBは、インフレ率が「受け入れがたいほど高い」(高官)として、引き締め姿勢を維持する方針だ。ただ、引き締めが長引くとの観測から長期金利は一時約16年ぶりに5%の節目に接近。景気の腰折れリスクが懸念され、FRB内には追加利上げへの慎重論も出始めた。
 急激に進めてきた利上げに連動し、米企業が資金調達のために発行する社債の利回りも上昇している。ジェファーソンFRB副議長は、社債の借り換えが増える来年は、利回りがさらに上がり、企業の金利負担が増えると指摘。企業活動の低下により景気が冷え込み過ぎるリスクに言及した。
 ただFRBは、高インフレが定着することへの警戒を解いておらず、年内にあと1回の追加利上げを想定している。インフレ抑制と景気の緩やかな減速の両立を目指すものの、政策運営は「スムーズな航海にはならなそうだ」(米金融大手)との見方もある。 

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