「ふるさと納税」運用改善を=寄付年1兆円、財源活用余地―財政審 2023年10月04日

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は4日、財政制度分科会を開き、地方財政の課題について議論した。委員からは、個人住民税の一部を好きな自治体に納める「ふるさと納税」の年間寄付金が過去最高の1兆円近くまで膨らんだことを受け、財源活用の在り方など運用の改善を図るよう求める意見が出た。
 ふるさと納税は、好きな自治体に寄付する代わりに、居住自治体に納める住民税や所得税が一定程度控除される制度。都市部と過疎地の税収格差を是正するために2008年に始まった。地元名産品など返礼品の人気を背景に利用者が急増し、22年度に自治体が受け入れた寄付総額は9654億円に達した。
 だが、ふるさと納税の影響で住民税収が大きく減少した自治体は財政難に直面する恐れもある。現在は、財政状況が厳しい自治体の住民税減収分の半分を国が補填(ほてん)する規定となっており、財務省は分科会で「ふるさと納税の利用者が増えれば国の負担も膨らむ。将来的に運用のルールを是正すべきだ」と主張した。 

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