製造業景況感、2期連続改善=原材料高一服も先行き懸念―非製造業32年ぶり高さ・日銀短観 2023年10月02日

 日銀が2日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス9となり、前回6月調査から4ポイント改善した。改善は2四半期連続。自動車生産の回復や原材料高の一服が寄与した。先行きはプラス10と小幅な改善を見込む。原材料高再燃への懸念などから不透明感もみられ、回復を持続できるかが課題だ。
 DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。9月短観では大企業非製造業も4ポイント改善のプラス27と、1991年11月以来、31年10カ月ぶりの景況感の強さとなった。経済活動の回復を受けて6期連続で改善したが、先行きはプラス21と悪化を見込んだ。
 大企業製造業は、16業種のうち9業種で景況感が改善した。自動車は半導体不足の緩和を受けて生産が回復し、プラス15(前回プラス5)と大幅に改善。原材料高の影響緩和や価格転嫁が進み、石油・石炭製品や食料品など幅広い業種で改善につながった。
 大企業非製造業は、12業種のうち8業種が改善。コロナ禍の行動制限撤廃に伴う回復が続いており、インバウンド(訪日客)需要増の恩恵を受けた宿泊・飲食サービスはプラス44(同プラス36)と、2004年の調査開始以来最高となった。電気・ガスも、大手電力による電気料金の値上げなどを受けて大幅改善した。
 一方で、中小企業は、非製造業がプラス12と4年6カ月ぶりの高水準だったものの、製造業は前回から横ばいのマイナス5。大企業に比べ価格転嫁が進んでいないことを背景に、中小製造業の改善の動きは鈍い。 

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