原油価格、高止まりの様相=100ドル目前、日本経済に打撃 2023年10月01日

 【ロンドン時事】原油価格が高止まりの様相を呈している。米国を中心とした世界経済の堅調さを背景に原油需要が旺盛な一方、サウジアラビアなど主要産油国の減産で供給が絞られているためだ。原油高が長期化すれば、円安の影響も相まって、エネルギーの大半を輸入に頼る日本経済への打撃は大きい。
 原油価格は昨年2月のロシアのウクライナ侵攻開始後に急騰し、国際指標である米国産WTIと英国産北海ブレントの先物価格は一時1バレル=130ドルを突破した。ただ、インフレ抑制を狙った主要中央銀行の相次ぐ利上げなどで世界的な景気後退懸念が台頭。欧州の暖冬や中国経済の不振もあって原油需要が抑えられ、今年に入ってWTIは一時60ドル台まで下落した。
 しかし、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が昨秋から大幅な協調減産を続ける中、サウジとロシアが独自に生産・輸出を減らすと表明したことで、原油価格は夏頃から上昇基調に転じた。さらに9月に両国が供給削減を年末まで延長する方針を示すと上げ足を速め、WTIとブレントは再び100ドルの大台に迫っている。
 石油のほぼ全量を輸入に依存する日本にとっては、原油高と円安は経済へのダブルパンチだ。ドル建てで取引されるWTIは年初来で約13%値上がりしたが、東京商品取引所の円建ての中東産(ドバイ)原油先物の上昇率は約27%に達した。政府は家計負担を和らげようとガソリン補助金を拡充したものの、「根本的な解決にはなっていない」(石油業界関係者)のが実情だ。
 国際エネルギー機関(IEA)は9月の月報で、減産延長の影響で年内は「大幅な供給不足」に陥ると予想、原油価格の高止まりを示唆した。来年初めに減産が解除されれば供給超過に転じると見込むが、サウジなどの動向が引き続き不透明要因となりそうだ。 

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