物価高対応・賃上げ加速=経済対策5本柱、岸田首相表明―来月策定、補正編成へ 2023年09月25日

 岸田文雄首相は25日、10月中の取りまとめを目指す新たな経済対策の五つの柱を表明した。最優先課題として、国民生活を圧迫している物価高への対応と企業の賃上げ・設備投資の促進を挙げた上で「日本経済が新たなステージに入るためにあらゆる手法を動員する」と強調した。コロナ禍から回復途上にある経済を活性化させる姿勢を鮮明にした。
 首相は首相官邸で記者団の取材に応じ、経済対策について(1)物価高から国民生活を守る(2)持続的賃上げ・所得向上と地方の成長(3)成長力につながる国内投資促進(4)人口減少を乗り越え変化を力にする社会変革(5)国土強靱(きょうじん)化など国民の安心・安全―の5本柱にすると語った。
 首相は、今回の経済対策の目的に関し「経済成長の成果である税収等の適切な還元」と「過去30年の経済停滞を招いたコストカット型経済からの転換」だと説明。物価高に負けない「構造的な賃上げ」と「人への投資」を重視し、優遇税制や補助金給付に取り組む考えを示した。社会保障負担の軽減策として、「年収の壁」解消策を週内に正式決定する方針も打ち出した。
 首相は表明に先立ち、自民・公明両党の政調会長と官邸で会談し、経済対策を検討するよう要請した。26日に閣僚にも指示を出し、来月中をめどに対策を取りまとめた後、財源の裏付けとなる2023年度補正予算案の編成に「速やかに入りたい」と明言した。予算規模が膨らめば、財政健全化が一段と遠のきそうだ。 

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記者団の取材に応じる岸田文雄首相=25日午後、首相官邸
記者団の取材に応じる岸田文雄首相=25日午後、首相官邸
新たな経済対策の「柱立て」について説明する岸田文雄首相=25日午後、首相官邸
新たな経済対策の「柱立て」について説明する岸田文雄首相=25日午後、首相官邸

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