日銀の国債保有53%=過去最大、大規模緩和前の4倍超 2023年06月27日

 日銀が27日発表した資金循環統計によると、2023年3月末時点の日銀による国債(国庫短期証券を除く)の保有割合は53.34%で、過去最大となった。保有割合は、黒田東彦前総裁就任前の2012年12月末時点(11.48%)から4倍超に膨らみ、国債の5割超を中央銀行が保有する異例の状態が続く。
 日銀は、黒田氏の下で始めた長短金利操作を含む大規模な金融緩和を継続。長期金利を0%程度に誘導するため大量の国債を買い入れており、3月末時点では国債発行残高1080兆円のうち576兆円を保有する。
 日銀の保有割合増大に伴い、政府の財政規律の緩みが指摘されているほか、金利上昇局面では保有する国債に含み損が生じるなど「財務が悪化する可能性がある」(日本総合研究所の河村小百合主席研究員)との懸念は強い。政策委員会内でも、長短金利操作に関して「早い段階で見直しを検討すべきだ」との意見が浮上している。 

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