TPP、英国加入で合意=7月署名、12カ国に拡大へ 2023年03月31日

 日豪など環太平洋連携協定(TPP)に参加する11カ国は31日、オンライン形式で閣僚会合を開き、英国の加入を認めることで合意した。2018年末のTPP発効後、加入は初めて。TPPは太平洋を囲む11カ国の枠組みから、英国を加えた12カ国に広がり、欧州連合(EU)に迫る巨大経済圏となる。
 参加国は31日の会合後、「英国の加入交渉の実質的な妥結を歓迎した」との閣僚共同声明を発表した。加入に必要な協定の条文を確定させ、7月の署名を目指す。英国の加入は、各国の国内手続きを経て正式に決まる。
 TPPは自由貿易協定(FTA)の一つ。農産品や工業品で関税を撤廃・削減するほか、投資、電子商取引など幅広い分野のルールを定めている。
 英国の加入でTPP参加国のGDP(国内総生産)の合計は世界全体の12%(11.8兆ドル)から15%(15兆ドル)に拡大し、EUの17兆ドルに迫る。
 日本政府によると、加入交渉を通じ、日本は21年に発効した日英経済連携協定(EPA)で英国から得られなかったコメの関税撤廃を獲得した。工業品の一部では、EPAで約束した関税撤廃時期の前倒しを英国から引き出した。後藤茂之経済再生担当相は31日の閣議後記者会見で「わが国が譲歩したものは一切ない」と強調した。 

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英国の環太平洋連携協定(TPP)加入合意について、取材に応じる後藤茂之経済再生担当相=31日午前、東京都千代田区
英国の環太平洋連携協定(TPP)加入合意について、取材に応じる後藤茂之経済再生担当相=31日午前、東京都千代田区

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