70歳就業、対応済み企業3割弱=微増、人手不足など後押し―厚労省 2023年01月06日

 厚生労働省が公表した高齢者の雇用状況調査によると、70歳まで就業する機会を確保している企業の割合は2022年6月時点で27.9%と、前年比2.3ポイント増えた。人手不足に加え、法改正で70歳までの就業機会確保が努力義務となったことが背景にある。少子高齢化は加速しており、労働力確保へ企業の対応は急務だ。
 調査は従業員21人以上の約23万社について、22年6月1日時点の状況をまとめた。70歳就業へ対応済みの企業は約6万5000社。規模別では、従業員300人以下の中小企業が2.3ポイント増の28.5%、301人以上の大企業は2.6ポイント増の20.4%だった。人手不足が深刻な中小企業が大企業を上回る結果となった。
 産業別に見ると、建設業(37.9%)、農林漁業(37.1%)、医療・福祉(35.2%)の割合が高かった。
 一方、企業の対応策では「継続雇用制度の導入」が最も多く、8割弱。「定年制の廃止」が約14%、「定年の引き上げ」が約8%と続いた。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「人口減少に歯止めがかからず、人手不足を解消するため、企業が高齢の労働者を確保する動きが広がるだろう」と指摘する。
 21年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法では、企業に対する努力義務として、70歳までの定年引き上げや定年制の廃止、再雇用を含む70歳までの継続雇用制度の導入などを求めている。 

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