なぜ低い?若者の岸田首相支持=改革色の弱さ要因か―世論調査分析 2022年12月26日

 岸田文雄首相が若者の心をつかめていない。岸田内閣の支持率を年代別に見ると、年齢が下がるほど低くなる傾向がある。安倍、菅両政権では一定の支持を得ていた層だ。専門家の分析を交え、要因を探ってみた。
 時事通信が18歳以上(2016年9月までは20歳以上)を対象に毎月実施する世論調査によると、12年12月末に第2次政権が発足して以降の安倍内閣の平均支持率は、全世代45.9%に対して29歳以下で43.7%。菅内閣では全世代36.7%、29歳以下36.0%だった。いずれも差は大きくない。
 一方、岸田内閣では全世代42.7%、29歳以下33.7%と9ポイントの開きがある。
 しかも、70歳以上が49.9%、60代で44.3%、50代で42.3%、40代で41.5%、30代は37.6%と、若年層ほど低い。年代間のばらつきが少なかった安倍、菅両内閣と違いは顕著だ。
 現代政治に詳しい中北浩爾一橋大教授は、岸田政権について「改革色が弱い。自民党の古い型の政策や統治スタイルに回帰する傾向が見られ、現状を良い方向に変えてほしいという若者の願いに応えられていない」と推測。安倍晋三元首相は「改革的な姿勢を一定程度見せた」と振り返る。安倍氏に関しては、若年世代の「保守化」も長期政権の支えになったとの見方がある。
 調査は「支持する」「支持しない」「分からない」の3択で行っており、岸田内閣は若い層で「分からない」の割合が高い点も特徴だ。昨年10月の政権発足以降の平均で全世代30.0%に対し、29歳以下は43.4%。これに関して中北氏は、「菅政権は理念がないと言われたが、携帯電話料金の引き下げなど分かりやすい政策を並べた。岸田政権は何をしたいか分かりにくい」と語る。
 岸田首相に足りない要素は何か。調査結果から浮かび上がるキーワードは「期待感」だ。
 支持しないと答えた人に理由(複数回答)を尋ねると、トップは政権発足以来ずっと「期待が持てない」。今年7月まで10%前後だったこの回答は内閣支持率下落に伴い増え、12月には25.1%に達した。
 中北氏は、首相が看板政策に掲げる「新しい資本主義」などで「一貫したメッセージ」を打ち出せていないことが失望につながっていると分析。「特に若い人の間で岸田さんに対して熱狂がない」と指摘する。「ずるずる状況対応だけしている内閣とみられているのではないか」とも語り、政権の行方に厳しい見方を示した。 

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首相官邸に入る岸田文雄首相=23日、東京・永田町
首相官邸に入る岸田文雄首相=23日、東京・永田町

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