社会保障費、伸び止まらず=描けぬ「子ども予算倍増」―来年度予算案 2022年12月23日

 2023年度予算案では、一般会計の3分の1を占める社会保障費が36兆8889億円に達し、過去最大となった。高齢化の進展で医療費の増加傾向に歯止めがかからず、厳しいやりくりは今後も続く。また、人口減少が深刻化する中、少子化対策の充実が喫緊の課題だが、岸田文雄首相が強調する「子ども予算倍増」に向けた展望は描けなかった。
 前年度と比べた高齢化による社会保障費の伸びは4100億円程度で、当初見込みより1500億円程度が縮減された。薬の公定価格である「薬価」の引き下げによる約3100億円の医療費削減が寄与したが、政府内では「薬価頼みの歳出削減には限界がある」(厚生労働省幹部)との声も出ている。
 政府の全世代型社会保障構築会議は、今月策定した報告書で「全国民が能力に応じて社会保障制度を支えるべきだ」と強調。一定の所得がある75歳以上の後期高齢者に負担増を求める医療保険制度改革案はまとまったものの、さらなる対策が必要となる。
 一方、少子化に関して、子ども予算倍増の議論は23年に先送りされた。来年4月に「こども家庭庁」が発足するが、子育て関連の公的支出は他の先進国と比べて低い水準にあり、支援拡充に向けた財源確保が欠かせない。22年の出生数は初めて80万人を下回る見通しで、「少子化対策は今がまさに正念場」(内閣官房幹部)。経済的なサポートに加え、仕事と子育ての両立支援など働き方の面での対応も急務だ。 

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