防衛費大幅増6.8兆円=反撃能力でミサイル強化、弾薬3倍―来年度予算案 2022年12月23日

 2023年度の防衛予算案は防衛力を抜本的に強化するため、22年度当初比26.3%増の6兆8219億円(米軍再編経費などを含む)となった。9年連続の過去最大更新。敵のミサイル拠点をたたく「反撃能力」(敵基地攻撃能力)として、米国製巡航ミサイル「トマホーク」など長射程ミサイルの配備を進める。継戦能力向上に向け、弾薬取得費も大幅に増やした。
 16日に閣議決定した「防衛力整備計画」では、23年度から5年間の防衛費総額を約43兆円と定めた。最終の27年度には防衛費と関連経費を合わせ、国内総生産(GDP)比2%に相当する約11兆円とする方針だ。
 トマホークは最新型を予定しており、購入費に2113億円を計上。反撃能力の保有としてはこの他、国産の「12式地対艦誘導弾」の射程を1000キロ超に伸ばす能力向上型の開発に338億円、量産に939億円を充てた。
 また、中国の動きをにらんだ「島しょ防衛用高速滑空弾」の開発費2003億円、音速の5倍以上の速度で飛行する「極超音速誘導弾」の研究費585億円を盛り込んだ。長射程ミサイルは大型のため、58億円で保管庫を整備する。
 弾道ミサイル迎撃能力の強化としては、新造する「イージス・システム搭載艦」整備に2208億円を確保した。
 弾薬取得には8283億円を確保した。「16カ月予算」として一体的に位置付けた21年度補正予算と22年度当初予算の合計額と比べて3.3倍となる。
 自衛隊施設の耐震化や重要な司令部の地下化にも予算を重点配備。「16カ月予算」比3.3倍の5049億円を計上した。防衛産業強化では400億円で基金を創設し、装備の海外移転を支援する。装備品の研究開発にも注力するとし、総額で同3.1倍の8968億円を積んだ。 

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