貯蓄から投資へNISA抜本拡充=エコカー減税、来年末まで維持―富裕層課税も・税制改正大綱 2022年12月16日

 自民、公明両党は16日、2023年度税制改正大綱を決定した。貯蓄から投資への流れを促進するため、少額投資非課税制度(NISA)を抜本的に拡充。「エコカー減税」は半導体不足の影響を踏まえ、現行の適用基準を23年末まで据え置く異例の措置を取った。年間所得額が1億円を超えると税負担率が下がる「1億円の壁」を是正するため、超富裕層への課税強化にも踏み切る。
 NISA拡充は、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の柱。現行は、投資信託のみを対象に年40万円まで投資可能なつみたて型と、上場株式などに年120万円まで投資できる一般型の2種類がある。24年から一本化し、一般型の機能を引き継ぐ「成長投資枠」を設ける。制度を恒久化し、非課税期間を無期限化。年間投資枠は、つみたて型120万円、成長投資枠240万円の計360万円に拡充し、生涯の投資上限額は1800万円にする。
 燃費性能に応じて自動車重量税を減免するエコカー減税と、車購入時に適用する自動車税などの「環境性能割」は3年間延長。適用基準は23年末まで据え置き、燃費基準は24年から段階的に厳格化する。
 1億円の壁の是正では、金融資産や給与などの所得が合計30億円を超える富裕層への課税を強化。対象者は200~300人に上る見通しだ。50億円程度なら所得税の負担率が2~3%増える想定で、25年分の所得から適用する。
 相続税と贈与税を一体的に見直し、生前の贈与財産を、死後に相続した財産に加算する期間を死亡前3年間から7年間に延ばす。生前の早い段階での贈与を促し、高齢世代の資産を若年層に移転する狙い。子や孫に教育や結婚・子育て資金を一括贈与した場合に贈与税を非課税にする特例措置は延長する。
 政権の看板政策であるスタートアップ(新興企業)育成に関しても支援。起業家が保有する株式譲渡益を元手にスタートアップに再投資した場合、投資額のうち最大20億円まで非課税にする優遇措置を創設する。
 また大綱には、妊娠・出産時に計10万円相当を支給する交付金に関し、24年度以降も継続実施するための安定財源について「早急に検討を行い、結論を得る」と明記した。 

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