75歳保険料、段階的引き上げ=急激な負担増抑制―厚労省 2022年12月13日

 厚生労働省は13日、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、年収1000万円程度の高所得者を対象にした保険料の年間上限額の引き上げを段階的に実施する方針を固めた。2024年度に現在の66万円から80万円に引き上げる案を示していたが、与党から急激な負担増への批判が出たことなどを踏まえ、25年度まで2年かけて引き上げる案に修正した。
 厚労省が同日開催された自民党全世代型社会保障特命委員会の会合に修正案を示した。高齢化の進展で医療費の大幅な増加が見込まれる中、政府は後期高齢者のうち、一定の収入がある中・高所得者の保険料を引き上げ、現役世代の負担軽減を目指している。
 厚労省は、高所得者の保険料の年間上限額を現在の66万円から80万円とし、中所得者も収入に応じて保険料を増額する方針。年収が153万円超の人を対象とする。出産育児一時金を50万円に増額するための財源を確保するため、後期高齢者医療制度から財源の7%分を拠出する仕組みも導入する。
 修正案によると、負担見直しに伴う激変緩和措置として、高所得者が支払う保険料の年間上限額の引き上げは、24年度に73万円、25年度に80万円と段階的に行う。一部の中所得者の保険料は24年度は据え置き、25年度から引き上げる。
 出産育児一時金を50万円に増額した場合、1人当たりの年間保険料の増加額は平均5400円だが、緩和措置を適用すると24年度は4100円に抑えられる見通し。
 同省はこの他、65~74歳の前期高齢者の医療費支援として健康保険組合などが拠出する納付金の算定に、加入者の賃金水準を反映する仕組みを24年度から導入する案を提示した。保険者間の格差是正が目的。
 これにより、中小企業が多い「協会けんぽ」は970億円の負担減となる一方、大企業の会社員らが加入する健保組合全体で600億円の負担増となる。このため同省は健保組合の負担を軽減するため国費による支援を行う方針。 

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