基金に過去最大8.9兆円=使途の透明性課題―2次補正予算案 2022年11月22日

 物価高への対応を柱とする総合経済対策を盛り込んだ2022年度第2次補正予算案で、複数年度にわたって予算を使える基金への予算措置が特別会計を含め50事業、8兆9013億円に上ることが22日、分かった。一度の予算案としては過去最大で、経済対策で膨張した。国会の監視が行き届かない面があり、使途や効果の透明性確保が課題となっている。
 これにより22年度の総額は約10兆6000億円で、新型コロナウイルス対策で基金が急増した20年度(11.5兆円)に次ぐ規模となる。今回の補正で新設される基金は16事業で約2兆4821億円を充てる。
 岸田政権は予算を年度内に使い切る単年度主義の弊害を是正する手段として基金を活用する方針を打ち出している。年度をまたいで円滑・柔軟に補助金を支出しやすくなる利点がある。
 一方、基金の事業は運営が各省庁の関連団体など外部に委託されるため、国会での検証が十分ではなくなり、適正に事業が執行されているか見えにくく、無駄遣いの温床になりかねないとの批判もある。
 今回の補正で予算額が多いのは、ガソリン価格を抑えるために支給している補助金事業の延長で3兆272億円。半導体などの供給確保を支援する新設基金に8288億円を投入するほか、中小企業の事業再構築を支援する基金に5800億円を積み増す。
 鈴木俊一財務相は22日の閣議後記者会見で、補正に盛り込んだ基金について「経済対策の政策課題を迅速かつ効率的に実施する上で必要だとそれぞれ判断した」と説明。その上で「適正な執行管理に努める」と強調した。 

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