物価見通し、2.3%に引き上げ=日銀、大規模緩和は維持―黒田総裁「経済下支え」強調 2022年07月21日

 日銀は21日、前日に続き金融政策決定会合を開き、現在の大規模な金融緩和策の維持を決めるとともに、2022年度の物価上昇率見通しを前年度比2.3%(4月時点は1.9%)に引き上げた。会合後に記者会見した黒田東彦総裁は「(企業の)価格転嫁の動きが広がっている」と物価上昇を認めつつも、「経済を支えるため金融緩和を続ける必要がある」と強調した。
 最新の景気予測となる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、物価見通しを上方修正した。足元の年度の物価見通しが2%を超えるのは、消費税増税の影響を受けた14年度を除けば、比較可能な03年度以降で初めてとなる。
 ただ、日銀は足元の物価上昇は資源高の影響を受けた一時的な動きと分析。黒田総裁は2%の物価目標の安定的な実現には「もう一段の賃金上昇が必要だ」と述べ、大規模緩和を粘り強く継続する姿勢を改めて示した。
 一方、欧米各国の中央銀行が相次いで金融引き締めにかじを切る中、日本の金融政策との方向性の違いから外国為替市場では円安圧力が強まっている。黒田総裁は「急速な円安は望ましくない」と懸念を示しながら、円安阻止のための利上げについては「合理的にあり得るとは考えない」と否定した。 

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金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の黒田東彦総裁=21日午後、日銀本店(代表撮影)
金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の黒田東彦総裁=21日午後、日銀本店(代表撮影)

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