年金、高齢者医療が争点=与野党の違い鮮明【公約比較】 2022年06月27日

 参院選では年金と高齢者医療が社会保障政策の主要な争点となっている。少子高齢化が加速する中、自民、公明両党は、現行制度の持続可能性を高め、全ての世代が安心できる「全世代型社会保障」を構築すると主張。一方、野党は、年金制度の抜本改革や、75歳以上の医療費窓口負担引き上げの撤回を掲げるなど、違いが鮮明になっている。
 ◇支給減に不満の声
 2022年度の公的年金の支給額は前年度に比べて0.4%減となった。現役世代の賃金が下がった場合に支給額を抑えるルールが適用されたためだ。給付と負担のバランスを確保し制度を維持するのが狙いだが、物価高騰が暮らしを直撃する中、年金生活者からは不満の声が出ている。
 自民は、年金制度を含め、「全世代型社会保障の構築に向けて計画的に取り組みを進める」と公約に明記。低年金を防ぐため、会社員や公務員が加入する厚生年金の適用対象拡大などを検討課題に挙げる。公明も、基礎年金の再配分機能を強化し、制度を安定化させると訴える。
 一方、立憲民主党は、低所得者向けの生活支援給付金を拡充し、年金に一定額を上乗せする制度を導入すると主張。共産党は、物価高騰時の年金支給額の削減中止を訴え、全額国庫による最低保障年金制度を提案する。
 日本維新の会は、生活に必要な最低限の金額を一律支給する「ベーシックインカム」の導入を検討する考えを示す。年金制度を継続する場合は、現役世代が将来受け取る年金の原資を自分で積み立てる方式に移行する方針。国民民主党もベーシックインカムの創設や、基礎年金の最低保障機能の強化を唱える。NHK党は年金支給開始年齢の引き上げ検討を盛り込んだ。
 ◇窓口負担2割で対立
 政府は10月から、75歳以上の医療費の窓口負担を、収入が一定以上の人を対象に現行の1割から2割に引き上げる。高齢化で医療費が膨らみ続ける中、現役世代の負担を減らして世代間の公平性を保つのが狙い。ただ、物価の上昇で高齢者の生活を取り巻く状況は厳しくなっているとして、立民、共産、社民党は引き上げの中止・撤回を訴える。維新は、所得に応じて医療費の窓口負担に差を設ける仕組みを主張する。
 自民は、高齢者が働きやすい環境の整備や予防医療を進めると強調。公明は、家族の世話や介護を行う18歳未満の「ヤングケアラー」の支援強化を掲げる。
 立民、共産は、病床数の適正化に向けて政府が進める「地域医療構想」について、公立・公的病院の統廃合や病床削減につながるとして、抜本的な見直しを唱えている。れいわ新選組は社会保険料の負担軽減を提案する。 

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