物価高対策、与野党競い合い=安保・改憲も争点―参院選公約【公約比較】 2022年06月17日

 与野党の参院選公約が出そろった。物価高騰が国民生活を直撃する中、それぞれ補助金や減税など対策を競い合う。ロシアのウクライナ侵攻を受け、安全保障政策や憲法改正も争点になりそうだ。
 ◇消費減税に野党照準
 自民党は、物価高騰について「米国など他の主要国と比べて、日本は4分の1程度に収まっている」とこれまでの対策の成果を誇示。石油元売り会社に対する補助金支給の継続などを通じ、燃油価格の抑制を図る方針だ。国民生活の底上げに向け、資産所得倍増社会の実現も提唱した。
 公明党は、適正な賃上げ水準を明示するため、第三者委員会の設置を盛り込んだ。
 立憲民主党は、政府・日銀の金融緩和政策が円安を招いていると批判。消費税率の時限的な5%への減税を主張した。共産党も5%に引き下げるよう訴えた。
 日本維新の会は、消費税の軽減税率を現行の8%から段階的に0~3%に引き下げると明記。国民民主党は「インフレ手当」として現金10万円の一律給付を唱えた。
 れいわ新選組は消費税廃止、社民党は「消費税率3年間ゼロ」、NHK党は年金受給者のNHK受信料無料化をそれぞれ掲げた。
 ◇GDP2%で温度差
 安保政策では、与野党の多くが防衛費の増額に理解を示す一方、水準に関しては温度差がある。自民党は、北大西洋条約機構(NATO)諸国が目標とする国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に、来年度から5年以内に「必要な水準の達成」を目指す方針を打ち出した。
 公明党は「防衛力を着実に強化する」としつつも、「予算額ありきではなく、真に必要な予算の確保を図る」と主張。自民党との立場の違いをにじませた。
 立民は「総額ありきではなく、メリハリのある防衛予算で防衛力の質的向上を図る」と強調。維新はGDP比2%を増額の一つの目安と位置付け、国民も「必要な防衛費を増額する」と記した。
 これに対し、共産党は「平和と暮らしを壊す軍事費2倍化を許さない」と増額に反対した。
 ◇自衛隊明記に賛否
 改憲をめぐり、自民党は9条への自衛隊明記など4項目の党改憲案に触れ、「改正を早期に実現する」と表明。公明党は9条を堅持した上で、自衛隊明記の「検討を進める」と踏み込んだ。
 野党は対応が割れた。立民は自衛隊明記の自民党案に反対。共産党も「9条改憲に反対を貫く」と強調した。一方、維新は「9条への自衛隊規定」実現を明記。国民も9条について「具体的な議論を進める」とした。 

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