「非上場化」へ経営刷新=物言う株主から取締役―東芝 2022年05月26日

 東芝の経営陣がようやく固まった。人事案を諮る定時株主総会まで1カ月余りのぎりぎりのタイミングで、大株主が提案した2人を新たな社外取締役候補に決めた。これまで経営危機時の巨額増資を引き受けた「物言う株主」に振り回されてきた東芝だが、これで株主側の意向が一層反映されやすくなるのは確実。大株主らが求める「非上場化」に向け、ハードルは一段と下がった形だ。
 「株主から推薦された方で適格だと考えたのがこの2人。適切な多様性を担保できた」。26日のオンライン会見で、レイモンド・ゼイジ指名委員長(社外取締役)は新たな布陣に胸を張った。
 東芝は昨年11月、企業価値向上に向けてグループを3分割する計画を発表。その後2分割に修正したが、今年3月の臨時株主総会で計画は否決された。大株主らは、投資ファンドなどが東芝を買収した上で非上場化し、企業価値向上を図るべきだと訴えており、東芝は計画再検討を迫られた。
 これまでに、米投資ファンドのベインキャピタルや日本の官民ファンドの産業革新投資機構など、東芝買収の動きが相次いで表面化している。
 ただ、東芝の先行きはなお不透明だ。今回発表した人事案では、分割計画を主導した社外取締役の多くが取締役候補に残り、過去の判断との整合性も問われそうだ。自身が「物言う株主」出身でもあるゼイジ氏は、「株主との信頼を再構築する」と繰り返した。 

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