観光の島、飲食店数は日本一=起業活発、女性社長も首位―統計で見る沖縄経済 2022年05月12日

 沖縄県は50年前の本土復帰以降、観光業や公共事業を柱に経済成長を続けてきた。豊かな自然や独特の文化が多くの人々を引きつけ、来県者相手のサービス業が発達。人口千人当たりの飲食店数が日本一で、起業の活発さや女性社長の多さといった特色もある。
 経済規模を示す名目県内総生産は、復帰当時の1972年度には4592億円だったが、2018年度には9.8倍の4兆5056億円に拡大。国全体の名目GDP(国内総生産)が5.8倍に拡大する中で、沖縄は全国を大きく上回る成長を実現した。
 国がこれまでに累計13兆円超の沖縄振興予算を投じ、インフラ整備を支援してきたことが経済押し上げの要因となってきた。それでも1人当たり県民所得は全国平均の7割と最下位で、本土との格差は残ったままだ。
 沖縄は米軍施設が集中する「基地の島」ではあるが、統計を見ると観光業が経済の柱に育ったことが分かる。18年度の米軍への財・サービス提供などは県内総生産の5.4%にとどまり、72年度の17.0%から大きく低下。一方、観光収入は8.9%から15.5%へと飛躍的に伸びた。
 国土交通省の宿泊旅行統計調査によると、コロナ禍前の19年の沖縄の延べ宿泊者数は3287万人で、東京都、大阪府、北海道に次ぐ全国4位につけた。総務省統計局によると、16年度の人口千人当たりの飲食店数は6.87店でトップ。2位の高知県(6.13)、3位の東京(5.80)を引き離し、全国平均(4.63)を大幅に上回った。
 沖縄で盛んなサービス業は、新陳代謝が活発で、女性の起業が多い傾向がある。22年版の小規模企業白書を見ると、新設の店舗・工場といった事業所が全事業所に占める割合を示す開業率は、沖縄が8.8%(20年度)で全国首位。最も低い秋田県(2.7%)の3倍に達した。また、帝国データバンクが昨年7月に発表した調査結果では、沖縄の21年の女性社長比率は11.4%と9年連続でトップを走っている。
 一方、本土から遠いなど物流面で不利な点が多いことから大規模工場が少なく、製造業が名目県内総生産に占める割合は18年度で4.3%にとどまる。全国平均が約2割に上る中で格段に低く、付加価値の高い製造業の育成や誘致は本土復帰後の50年にわたり、変わらぬ課題となってきた。 

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